窓を開けた。

 見ると、昼間見た真っ赤なバイクがある。

 慌てて泉は外に出た。

「いや、うちも帰ってから気づいたんやけど、連絡先知らんからどないしょうかって」

 一徹は笑わせようとした。

 が。

 泉は急に、

「ごめん…ごめんね…」

 一徹の目の前で、そのくりくりとした瞳が潤んで、一筋の涙が落ちるのが、街灯で光った。

「まぁ、まさか来るとは思わんよな。こっちこそ驚かして、かんにんやで」

 一徹は泣かれるのが弱かったようで、

「うちこそごめんな」

 次は真剣な眼差しで言った。