缶コーラを飲み終えると、

「じゃあ、うちはこのへんで」

 頭を下げると、一徹は駐輪場に停めてあったバイクに再び跨がり、風のように帰り去っていった。

 空缶を泉は片付けたりしていたが、

「…あっ!」

 思わず声を上げた。

「やばっ…ヘルメット返してない」

 見るとバッグの隣に、例のピンクのヘルメットがある。

「あとで返さなきゃ…」

 しかし。

 連絡先も聞いてない。

 思わずヘルメットを持って部屋にこもったまま、内心は途方に暮れていた。