アパートの一階の、一番隅が泉の家らしい。

「少しだけ休んできなって、タダってわけにゆかないからさ」

 泉は存外、気配りの出来る子であるようである。

「じゃあちょっとだけ」

 泉が冷蔵庫から出したのは缶のコーラである。

「なんか今お茶ないみたいで、これしかないけど」

 と泉は一徹にコーラの缶を渡した。