「あー凛、振られたな」

「うるせー」


デートに誰かを誘ったこともはじめてだし、こんな風な態度をとられたのも始めてだった。
自分に興味がないのが珍しいから、ただそれだけなのだろうか。無性に彼女が気になって仕方ない。


「明日10時に三角公園のベンチにいるから」


少したって戻ってきた静菜ちゃんは、早口でそう言った。


「し、静菜ちゃん!」

「なによ」

「ありがとう。どうしたらいいのかなって思って」

「聞けばいいでしょ。それに誘ってきたのはそっちなんだからそっちから言えばいいでしょ」

「........そうなんだけどね」


自分から誘ったことがなさすぎて、どういうふうに振る舞えばいいのかが全然わかんなくて調子が狂う。


「1分でも遅れたら帰るからね」


そう言い残して、静菜ちゃんは友達の元へといく。


「だいぶ苦戦してんな、お前」

「いや、もうわっかんねーわ」


女の子の扱いには慣れているつもりだった。
でも、こうも他の子と違うとわからないことだらけ。
女の子には自信があったはずなのに、そんな自信あっという間になくなる。

なんなんだ、この自信のなさはまるで俺ではないようだった。
こんな自分は自分じゃなくて、誰か1人に固執するなんてバカみたいで。
それでも俺は静菜ちゃんと仲良くなりたいと思った。