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「ねぇ」

「え........?」


次の日、突然話しかけた俺に読んでいた本から視線を上げた彼女は目を丸くしてる。


「静菜ちゃん」

「え?」


覚えたての名前を口にすると怪訝な顔になる。


「静菜ちゃんじゃなかった?」

「そうだけど........なんで勝手に呼ぶの?」

「そんな嫌そうな顔しなくてもいいじゃん」


静菜ちゃんの頭をポンポンっと撫でる。


「勝手に触らないでよ」


俺の存在を無視するかのように、もう一度視線を読んでいた本へと戻す。


「ねぇ、俺とデートしようよ」

「........は?」


本を見ていた視線がもう一度俺に向いて少し嬉しくなる。


「だから、デート。しようよ」


もう一度、今度は静菜ちゃんの前の席に腰をかけて、同じ目線で話す。


「別にいいけど?」

「ほんと!?」


まさかOKしてくれるなんて思ってなくて、自分で誘ったくせにめちゃくちゃ驚いた。


「でもデートしたからってあたし好きになんかならないよ」

「え?」

「どうせ自分に興味のない子が珍しいだけでしょ?」

「........っ」


図星すぎて、違うって言えばいいのに言えなかった。