「これ、みてほしい」


俺はノートを指さしてそしてそのにまずは〝静菜ちゃん〟と書く。


「口でいえばいいでしょ、そのくらい」


呆れたように俺をみるけど、構わずにノートにペンを走らせる。


〝いいなって思ったら、名前なんて呼べなくて〟

〝他の子なら簡単に呼べる名前も、静菜ちゃんは呼ぼうとするだけで顔が熱くなって無理〟


「........え？」


俺の書いた文字をみて目を丸くしていく静菜ちゃん。


「口で言えなくて、本当にごめんだけど........」


ページをめぐって、どうしても昨日言いたくても言えなかったあの文字を。
せめて大きく書こうと深呼吸をする。


〝好き〟


見開き2ページを使ったその文字はなんだかとても輝いてみえた。
俺の初めての告白はかっこ悪いけど、どんなものよりも輝いて見えた。


「なによ、それ........」


見上げると、いつも表情が変わらない静菜ちゃんの顔が真っ赤に染まっていた。


「顔、真っ赤」

「そっちこそ赤いよ」


いつもの調子でいう静菜ちゃんにカチコチに緊張していた俺もすこし和らいでくる。


「こんなかっこ悪い告白でごめんな。でも、どんな形でも伝えたくて」