「でも、俺らからみたら羨ましいよ。やっぱモテんのは」

「ぶっちゃけみんな寄ってくるけど、告られたことなんか無いに等しいよ。暗黙の了解で告白はしないことになってるとか........よくわかんねー」


本当に恋をしたら、そんな暗黙の了解なんて守れないと思うけどな。
何がなんでも自分のものにしたいって思うのが恋なんじゃねーの。
今が嫌われてようと静菜ちゃんに見てもらいたいって俺が思うように、みんななるもんじゃねーのかな。


「俺の席来たら?後ろに坂口いるだろ」

「いや、後ろにいるとか無理すぎる........」

「は?お前、マジで凛?」

「うるせーよ。俺だってビックリしてんだよ」


俺のことを見てほしいって思うくせに、まず近づくことさえも無理。
何がなんでも俺のものにしたいって気持ちはあるけど、近くにいくなんてドキドキしすぎてやばそう。


「ねぇ、凛くん。凛くんって静菜のことが好きなの?」

「........は!?」


急にやってきた女子にビックリしてしまう。


「デートしたんでしょ?それも凛くんから誘って!」

「あー........」


デートっていっても実際は、ベンチで話しただけ。
それも少しだけ。
静菜ちゃんが俺を嫌っているという事実にショックを受けて、帰ってきてしまったのだからデートと言えるかさえ怪しい。