それを、彼女が悪気など微塵もなく口にすると、聞いていた菜穂が盛大に吹き出した後、お腹を抱えて笑い出した。


「さ、3Bだ……付き合っちゃいけない男の職業トップスリーだ。ほんともう、最高。あー……お腹痛い。えーとなんて言ったっけ、マリだっけ?あんた流石だね」


可笑しそうに、楽しそうに笑い続ける菜穂を睨んでから、棗は彼女に向き直ってガクッと肩を下げた。


「……わかってる、わかってるよ。真希ちゃんに悪気がないのはよーくわかってるし、そういう真っすぐなところもまた可愛いんだけど…………真っすぐだからこそ、心に刺さるよね」


なおも笑い続ける菜穂と、俯いて悲しげにため息をつく棗を交互に見て、彼女は心底不思議な気持ちで首を傾げる。

何が起こっているのかはよくわからないが、とりあえず言わなければいけないことが一つあった。


「菜穂さん、私の名前はマリじゃなくて真希です!本庄 真希(ほんじょう まき)。いい加減覚えてくださいよ」