「好きっていうのは、種類があるものなんですか?それとも、好きの度合い、という意味でしょうか」


確かに、とても仲のいい友人と、会えば話はするけれどそれほど仲良しとも言えない友人とでは、前者の方が好きの度合いは大きい。
同じ好きではあるけれど、同列には語れない好きでもある。

そういうことかと真希が問えば、今度は棗が困ったような顔で首を傾げた。


「うーん……ちょっと違うんだよな。まあ、度合い、と言えなくもないけど、でもやっぱりニュアンス的にちょっと違う」

「ニュアンスですか」


やっぱりよくわからなくて、真希も棗と一緒になって首を傾げる。

しばらく二人で向き合って首を傾げていると、不意に棗がポツリと


「上手く説明できないけど、俺の中では、明確に違うんだよ」


言い終えたところで手を伸ばした棗は、そっと真希の肩に手を乗せて、優しくも強い力で引き寄せた。

いつもの挨拶のハグと同じように、真希は棗の腕の中にすっぽりと納まる。