ふと、ももちゃんが浮かない顔をしていることに気づく。そういえばももちゃんがノリくんに会うのは確か体育祭ぶりだったと思うけど、この口調とビジュアルの変化に驚いているのだろうか。
あんまりそんな様子はない。
そう思っているとノリくんがももちゃんに気が付いたようで、あ、と少しだけ声色を変えた。
「百瀬さん、坊ちゃんからはあなたは今日は都合が悪いと聞きましたが」
ノリくんがなんでももちゃんの名前を知っているんだろう、と思ったのは私だけのようだった。
「飛鳥と花火見に来たんだから、都合悪いってことですよ」
ももちゃんの声は呆れているようで、少し困惑している気配もある。
「そうですか。しかしここにいるだろうという坊ちゃんの読みは当たっていましたね。もしも会った時のためにと、私は綿菓子を買いに来ました」
「私のためかよ!しかもこんなんで釣れると思ってるのかよ!」
ももちゃんの、いちおう使ってみたのであろう敬語はすぐに外れた。当たり前だ、話が読めないけれど霜田先輩がももちゃんのためにこの綿菓子を買ったのだとすると笑えるし、そもそもそんなことをたくらむなら自分で買いに行けよと言いたい。
「じゃあついでに伝えておいてよ。私はあなたとデートをする気も、付き合う気もないって」
えっ!?と思って私はももちゃんを見る。霜田先輩って、ももちゃんにアプローチ中だったの!?
「私は倫理観のない人に興味はない。飛鳥を陥れようとしたのも許してないから」
「はあ、しかし坊ちゃんはそう言ってビンタをされた瞬間に惚れたと言っていました」
いつの間にかノリくんは綿菓子を手にしていて、なぜか私たちと一緒にたませんの列に並んでいた。
「えっ、ももちゃん、霜田先輩にビンタしたの?」
「……あの体育祭の騒動の時にね。腹立ったから」
「ももちゃん……!!」
本当に好きだ!そして霜田先輩、ビンタされて好きになるとか、うすうす気づいてたけどあの人やっぱりドМだな!
「あれ以来家で道徳の勉強をし直し、倫理に反したことはしていないですよ。バスでもお年寄りに席を譲っています。どうですか、ここはひとつ若気の至り、子供の反抗期だったと大目に見て」
「年上の男を若気の至りだったねとか言って子どもを見るような目で面倒見たくないんだよ……」
あんまりそんな様子はない。
そう思っているとノリくんがももちゃんに気が付いたようで、あ、と少しだけ声色を変えた。
「百瀬さん、坊ちゃんからはあなたは今日は都合が悪いと聞きましたが」
ノリくんがなんでももちゃんの名前を知っているんだろう、と思ったのは私だけのようだった。
「飛鳥と花火見に来たんだから、都合悪いってことですよ」
ももちゃんの声は呆れているようで、少し困惑している気配もある。
「そうですか。しかしここにいるだろうという坊ちゃんの読みは当たっていましたね。もしも会った時のためにと、私は綿菓子を買いに来ました」
「私のためかよ!しかもこんなんで釣れると思ってるのかよ!」
ももちゃんの、いちおう使ってみたのであろう敬語はすぐに外れた。当たり前だ、話が読めないけれど霜田先輩がももちゃんのためにこの綿菓子を買ったのだとすると笑えるし、そもそもそんなことをたくらむなら自分で買いに行けよと言いたい。
「じゃあついでに伝えておいてよ。私はあなたとデートをする気も、付き合う気もないって」
えっ!?と思って私はももちゃんを見る。霜田先輩って、ももちゃんにアプローチ中だったの!?
「私は倫理観のない人に興味はない。飛鳥を陥れようとしたのも許してないから」
「はあ、しかし坊ちゃんはそう言ってビンタをされた瞬間に惚れたと言っていました」
いつの間にかノリくんは綿菓子を手にしていて、なぜか私たちと一緒にたませんの列に並んでいた。
「えっ、ももちゃん、霜田先輩にビンタしたの?」
「……あの体育祭の騒動の時にね。腹立ったから」
「ももちゃん……!!」
本当に好きだ!そして霜田先輩、ビンタされて好きになるとか、うすうす気づいてたけどあの人やっぱりドМだな!
「あれ以来家で道徳の勉強をし直し、倫理に反したことはしていないですよ。バスでもお年寄りに席を譲っています。どうですか、ここはひとつ若気の至り、子供の反抗期だったと大目に見て」
「年上の男を若気の至りだったねとか言って子どもを見るような目で面倒見たくないんだよ……」

