教室の中がそれはもうべらぼうにざわざわしていて、廊下にまで人が集まってきている。ふざけんな、私たちはパンダか?観覧料払え!
ノリくんは最高に安全な人だ、なんならこの勘違いされているであろう抱き寄せ写真だって、私を通過する自転車から守ってくれただけだ。そもそもこのシチュエーションって、陽一が他の女と歩いていたことが原因で発生したんだからな。
そう思うたびに、私はこの「写真&デタラメばら撒き事件」にさほどショックを受けていない理由を、具体的に自覚するのだ。
「てか人のこと言えるわけ?自分は誰と遊んでんの?放課後!」
「それと今俺が言ってることは違うだろ」
「何が違うの?私が一人でノリくんに会ったことがイヤだって言ってるんでしょ、一緒じゃん!」
「そうじゃねぇよ、お前は女だろ!」
「ここにきて男尊女卑!?男は浮気してもいいって!?一夫多妻制は日本では適応されてないんだよバーカ!!」
「ちょっと!」
第三者の、正しくはももちゃんの、強くて冷静な声が中断に入ったことで私たちは言葉を止める。
「……あんたたちいい見せもんだから。一回、落ち着きなよ」
教室の中が静まり返った隙に担任が入ってきて、「とりあえずみんな席ついて、お願いだから」と珍しく懇願した。そして私を見て、ため息交じりに言う。
「有栖川は、SHRが終わったら生徒指導室に来なさい」
被害者でしかないことを、大声で主張してやる。
しかし生徒指導室で担任の立会いのもと私に向かい合った中年の先生は思いの外やる気がなさそうだったので、戦闘態勢だった私は拍子抜けしてしまった。
テスト直前に騒ぎを起こしてくれるな、という感じだろうか。激しく同意だ。
「やくざと交際しているというのは本当なのか?」
「いいえ、この人はやくざではないし交際もしていません」
「ならいいんだけどね」
あまりの軽さに思わず笑ってしまう。これが事実でない以上あの貼り出しはただの嫌がらせだ。でも高校の先生は、あんまりそういうことに干渉したくなさそうなイメージがある。勝手に思ってるだけだけど。
まあでも犯人が分かっているうえに今のところそんなにショックを受けていない私は先生に泣きつく気も特にわいていない。
このとき、二次災害についてまったく頭になかったことは少し愚かだったけど。
ノリくんは最高に安全な人だ、なんならこの勘違いされているであろう抱き寄せ写真だって、私を通過する自転車から守ってくれただけだ。そもそもこのシチュエーションって、陽一が他の女と歩いていたことが原因で発生したんだからな。
そう思うたびに、私はこの「写真&デタラメばら撒き事件」にさほどショックを受けていない理由を、具体的に自覚するのだ。
「てか人のこと言えるわけ?自分は誰と遊んでんの?放課後!」
「それと今俺が言ってることは違うだろ」
「何が違うの?私が一人でノリくんに会ったことがイヤだって言ってるんでしょ、一緒じゃん!」
「そうじゃねぇよ、お前は女だろ!」
「ここにきて男尊女卑!?男は浮気してもいいって!?一夫多妻制は日本では適応されてないんだよバーカ!!」
「ちょっと!」
第三者の、正しくはももちゃんの、強くて冷静な声が中断に入ったことで私たちは言葉を止める。
「……あんたたちいい見せもんだから。一回、落ち着きなよ」
教室の中が静まり返った隙に担任が入ってきて、「とりあえずみんな席ついて、お願いだから」と珍しく懇願した。そして私を見て、ため息交じりに言う。
「有栖川は、SHRが終わったら生徒指導室に来なさい」
被害者でしかないことを、大声で主張してやる。
しかし生徒指導室で担任の立会いのもと私に向かい合った中年の先生は思いの外やる気がなさそうだったので、戦闘態勢だった私は拍子抜けしてしまった。
テスト直前に騒ぎを起こしてくれるな、という感じだろうか。激しく同意だ。
「やくざと交際しているというのは本当なのか?」
「いいえ、この人はやくざではないし交際もしていません」
「ならいいんだけどね」
あまりの軽さに思わず笑ってしまう。これが事実でない以上あの貼り出しはただの嫌がらせだ。でも高校の先生は、あんまりそういうことに干渉したくなさそうなイメージがある。勝手に思ってるだけだけど。
まあでも犯人が分かっているうえに今のところそんなにショックを受けていない私は先生に泣きつく気も特にわいていない。
このとき、二次災害についてまったく頭になかったことは少し愚かだったけど。