さっき陽一とアイスを食べたことを思い出す。近づくほどがっかりして、信じるほど信じられない部分が見えてくる。そして陽一はそれを、わざとやっていると思う。あっけらかんと、だけどしたたかに。
「ももちゃんも本当は気づいてるでしょ。外に女がいること」
「……あー……えー?」
外に女がいるって、言ってから笑えてくる。何なんだ私、家内か?ももちゃんは納得いっていないように言葉を濁しながら、だけど否定しない。直接陽一から聞いていないかもしれないにしろ、何か思い当たる節があるんだろう。
「だから、陽一はなし。陽一も私はなし」
「……それにしたって、さあ。あんたたち幼馴染なんでしょ。恋愛対象か他人の2つしか選択肢ないの?」
「どういう、こと」
「私はこうやって近くに幼馴染がいないからわかんないけどさあ。なんか幼馴染って、もっと違うかたちでも、成り立つもんじゃないの」
突然肌にじっとりとした空気が触れたような気がして外を見ると、雨が降り出しそうな曇りだ。きっと今頃、小さな虫が低空飛行をしてる。ももちゃんの言っていることを噛み砕こうとして、時間がかかった。
「芹沢を恋愛対象にしまいと意識してるのは、飛鳥のほうだよね」
理解した時には、自分の思い込みの激しさと現実のギャップに、赤面せずにはいられない。苦しいくらいに、恥ずかしい。
駅から家までの道のりを歩いている途中に、携帯が震えた。お母さんからのメールで、「ごめん、突然会社の飲み会に参加することになった。ごはんの用意何もしてないから、外で食べてきて」という割と勝手な内容だった。いや、別にいいんだけども。
自転車で5分もかからないくらいの距離に、陽一の家があるな、とふと思ってすぐに撤回する。いやいやいくらなんでも都合がよすぎるし、そもそも陽一と私が幼馴染なだけで、親同士は別に仲良くない。
致し方ない、ファミレスで済ませるかあ。そう思って目の前にあるファミレスを眺めると、有名な全国チェーン展開しているファミレスの、ポップな外装の雰囲気に合わない金髪でいかつい男の人が窓側の席に座っているのが見える。
「……ノリくん!?」
思わず、一人でソファーの席を占領しているノリくんの正面に座る。ノリくんは顔を上げながらいつものごとくきつい口調と目線を私に向けてくる。
「ももちゃんも本当は気づいてるでしょ。外に女がいること」
「……あー……えー?」
外に女がいるって、言ってから笑えてくる。何なんだ私、家内か?ももちゃんは納得いっていないように言葉を濁しながら、だけど否定しない。直接陽一から聞いていないかもしれないにしろ、何か思い当たる節があるんだろう。
「だから、陽一はなし。陽一も私はなし」
「……それにしたって、さあ。あんたたち幼馴染なんでしょ。恋愛対象か他人の2つしか選択肢ないの?」
「どういう、こと」
「私はこうやって近くに幼馴染がいないからわかんないけどさあ。なんか幼馴染って、もっと違うかたちでも、成り立つもんじゃないの」
突然肌にじっとりとした空気が触れたような気がして外を見ると、雨が降り出しそうな曇りだ。きっと今頃、小さな虫が低空飛行をしてる。ももちゃんの言っていることを噛み砕こうとして、時間がかかった。
「芹沢を恋愛対象にしまいと意識してるのは、飛鳥のほうだよね」
理解した時には、自分の思い込みの激しさと現実のギャップに、赤面せずにはいられない。苦しいくらいに、恥ずかしい。
駅から家までの道のりを歩いている途中に、携帯が震えた。お母さんからのメールで、「ごめん、突然会社の飲み会に参加することになった。ごはんの用意何もしてないから、外で食べてきて」という割と勝手な内容だった。いや、別にいいんだけども。
自転車で5分もかからないくらいの距離に、陽一の家があるな、とふと思ってすぐに撤回する。いやいやいくらなんでも都合がよすぎるし、そもそも陽一と私が幼馴染なだけで、親同士は別に仲良くない。
致し方ない、ファミレスで済ませるかあ。そう思って目の前にあるファミレスを眺めると、有名な全国チェーン展開しているファミレスの、ポップな外装の雰囲気に合わない金髪でいかつい男の人が窓側の席に座っているのが見える。
「……ノリくん!?」
思わず、一人でソファーの席を占領しているノリくんの正面に座る。ノリくんは顔を上げながらいつものごとくきつい口調と目線を私に向けてくる。