君が目を覚ましてこの手紙を読んでいる時には私はいなくなっていると思う。だけど、絶望しないでほしい。私は君が嫌いになったわけではないよ。

 ここには復讐をしに来たと言ったけれど、理由はそれだけじゃない。

 自分の世界を広げる為でもあった。

 私は確かに君が尊敬する芸術家であることは間違いない。だけど、それも最近では陰りが見えて来ている。芸術が受け入れられなくなり、人気がなくなるのなら仕方がないと受け入れよう。だが、現状はそうではない。逆だ。

 もっと過激に、全てを破壊せよ。そんな声が周りから寄せられている。

 ここが分岐点だと感じたよ。このまま破壊の衝動に身を任せるのか、引き返すのか。

 その答えを君の絵からもらった。

 だから私は君の前に現れて、それを現実に昇華しようとしている。

 決行の日時は一週間後。

 君の気持ちがどう変わろうとも仕掛けた爆弾は決して止まらない。


『追伸』 スマホはそのまま好きに使って良いよ。フィルターは外すから。エッチなサイトばかり観てはいけないよ。少しだけなら許す。