んは素直で純粋な方です」
「分かってますよ、そんなこと。親ですから
これでも」
「はい、でも分かっていないことがあります」
「そんなことはない。私は陽和のことはあな
たより知っている。あなたにどうのこうの言
われる筋合いはない」
「確かにそうです。でも、私は、松岡さんが
夢を叶えようとしている。それを今に限って
家に帰れというのはおかしいのではないでし
ょうか? あなたは松岡さんをただの道具み
たいにしか思っていない。総理大臣になれた
から松岡さんは必要? 総理大臣になる前は、
いらない存在だったってことですか? 松岡
さんは人間です。あなたが思う通りになんて
いきません。今だって、あなたのことを愛し
ているんです。分かりませんか? 松岡さん
はネコカフェを叶えたいのは自分のためだけ
じゃない。林総理大臣に見せたいんですよ。
松岡さんの気持ち、分からないですか」
私は一呼吸おきながら、林総理大臣に勢い
で言った。
「……あんた、何なんだね。私は陽和にそん
な道具扱いした覚えはない。陽和の気持ちは
俺が分かってる。だから、そんなこと言う権
利あなたにはない」
「……違います。松岡さんの顔を見て下さい」
私がそう言うと、林総理大臣は松岡さんを
見た。
その顔は、悲しい表情をしつつ泣きそうな
顔をしていた。
彼は、私を見てなぜ俺が言いたいことが分
かるんだ? と聞いているかのような表情を
浮かべていた。
以下にも私の言っていることで涙が滲み出
ていた。
「陽和」
「……林総理大臣。あなたは、松岡さんの気
持ち分かってなかったんです。帰っていただ
けますか?」
私は林総理大臣に少しキツイ口調で言った。
「……少しだけでも話せないか? 陽和」
低いトーンで林総理大臣は、松岡さんに話
しかけた。さっきとは違い、ちゃんと彼を一
人の人間として見ている気がした。
「……親父。親父の気持ちはよく分かった。
でも、俺は親父の気持ちは受け取れない。俺
はネコカフェを作りたかったのは、陽琉が言
った通り。俺の気持ちと親父の思いが入って
いる。だから、その思いをただ見守っていて
ほしいんだ。それだけは分かってほしい。親
父、俺のことはもう忘れてくれ。俺のことは
もう大丈夫だから。毎週のようにお金送らな
くても生活できるから。俺のことより弟のこ
「分かってますよ、そんなこと。親ですから
これでも」
「はい、でも分かっていないことがあります」
「そんなことはない。私は陽和のことはあな
たより知っている。あなたにどうのこうの言
われる筋合いはない」
「確かにそうです。でも、私は、松岡さんが
夢を叶えようとしている。それを今に限って
家に帰れというのはおかしいのではないでし
ょうか? あなたは松岡さんをただの道具み
たいにしか思っていない。総理大臣になれた
から松岡さんは必要? 総理大臣になる前は、
いらない存在だったってことですか? 松岡
さんは人間です。あなたが思う通りになんて
いきません。今だって、あなたのことを愛し
ているんです。分かりませんか? 松岡さん
はネコカフェを叶えたいのは自分のためだけ
じゃない。林総理大臣に見せたいんですよ。
松岡さんの気持ち、分からないですか」
私は一呼吸おきながら、林総理大臣に勢い
で言った。
「……あんた、何なんだね。私は陽和にそん
な道具扱いした覚えはない。陽和の気持ちは
俺が分かってる。だから、そんなこと言う権
利あなたにはない」
「……違います。松岡さんの顔を見て下さい」
私がそう言うと、林総理大臣は松岡さんを
見た。
その顔は、悲しい表情をしつつ泣きそうな
顔をしていた。
彼は、私を見てなぜ俺が言いたいことが分
かるんだ? と聞いているかのような表情を
浮かべていた。
以下にも私の言っていることで涙が滲み出
ていた。
「陽和」
「……林総理大臣。あなたは、松岡さんの気
持ち分かってなかったんです。帰っていただ
けますか?」
私は林総理大臣に少しキツイ口調で言った。
「……少しだけでも話せないか? 陽和」
低いトーンで林総理大臣は、松岡さんに話
しかけた。さっきとは違い、ちゃんと彼を一
人の人間として見ている気がした。
「……親父。親父の気持ちはよく分かった。
でも、俺は親父の気持ちは受け取れない。俺
はネコカフェを作りたかったのは、陽琉が言
った通り。俺の気持ちと親父の思いが入って
いる。だから、その思いをただ見守っていて
ほしいんだ。それだけは分かってほしい。親
父、俺のことはもう忘れてくれ。俺のことは
もう大丈夫だから。毎週のようにお金送らな
くても生活できるから。俺のことより弟のこ