た場合は、なんとかなるよ」
「……本当かしら?」
 彼女が心配事をしていたのは、ネコカフェ
だ。ネコカフェは、こないだ来た林総理大臣
と太橋さんの了承を得てから、すぐに太橋さ
んと話を設けて話を進めていた。
 いろんな手配をして、今古本屋『松岡』は
工事をしている最中だ。
 うるさい工事音がする中、私達は居間で身
を隠して話をしていた。
「大丈夫だから、心配すんな。くるみ」
 はいはいと呆れたように彼を見てから、彼
女は雑誌をペラッと開いて、凛とした表情を
浮かべていた。
「それより、陽和これ見て」
「なんだ」
 くるみさんが見ていた雑誌を松岡さんの近
くに寄せて見せた。
「私ね、雑誌の読者モデルに採用されたの」
 彼は雑誌を見つつ、くるみさんを見て口を
押さえ目を丸くしていた。
「すごいじゃないか、くるみ。良かったな!
うわあ、良かったな。本当に」
 雑誌にはくるみさんがポーズをしていて、
可愛い服装を着て初登場くるみと書かれてい
た。   
 その内容を見た松岡さんは、目を潤ませて
いた。くるみさんは、彼を見て驚いた顔をし
ていた。
「陽和、そんな泣かなくても……でもね、私
の目標はモデル事務所に入ることだから。読
者モデルになったからといて、油断は出来な
いからね。気を引き締めていかないと」
 目に涙を浮かべながら彼女は松岡さんに言
った。私達は松岡さんとくるみさんの様子を
見ていた。
「……そうだな。目的だけは失わない方がい
いな。でもくるみいつの間に受けてたの?」
 彼は涙を流しつつも、言葉ははっきりと答
えていた。
「今年に入ってから……ひとりの力でやって
みようと思って……」
 彼女は私と同じく自分の力で試してみたか
ったのだ。中年集団と昇哉さんの力を借りる
のではなく、自分の力で。
「くるみ、良かったな。おめでとう」
 右手に酒を持ちながらコバさんは、ニコッ
と笑顔を浮かべていた。
 だが、その笑顔には輝きが見えなく、目が
喜んでいないように感じられた。
「くるみさん、良かったですね。私にも見せ
て下さい」
「いいわよ、陽和。もういい?」
「ああ、いいぞ。陽琉、見な! 雑誌にくる
みがいるぞ」
 松岡さんは史上最高の笑顔で私に微笑んで
きた。
 その笑顔にグサッと胸に突き刺さった。
 何これ、苦しい。