声の主は、その声が聞こえないのか、まだ
ピヨ―と呼んでいる。ニャ―、ニャ―、ニャ
―という猫の声が近くでした。
 ガサガサと草原をかき分けて、ピヨの方へ
向かった。
「ピヨ――」
 私が呼んだら、ニャーと私に甘えるような
声が近くで聞こえたので、周囲を見渡したら
私の足元にネコがいた。
「ピヨ?」
 ネコは、ニャーと言い、私の足元をスリス
リしてきた。ピヨと確認したので、そのネコ
を確保した。
「……捕らえた!」
「ピヨ、見つけました―!」
 遠くにいた声の主に私は言った。声の主は、
うれしそうに私に叫んだ。
「本当だ―ピヨ――!」
 声の主は、私の方に急いで走ってきて、私
の手にあったピヨを声の主に渡した。
「ピヨ! どこに行ってたんだよ――」
 声の主は顔や服が汚くなっていて、もう泥
まみれだ。子どもみたいに手も足も汚れてい
た。
「……やっと見つけた!」
 声の主は、嬉しそうにピヨを抱き上げてい
た。
「……はあ、もう探したんだぞ」
 ピヨに顔を近づけて、声の主はよしよしし
ていた。
「ありがとうございます。本当に助かりまし
た」
「いえいえ、此方こそ」
 声の主は、本当にありがとうございますと
頭を下げた。
「…あの名前は?」
「…小松陽琉です」
「さっきは、ありがとうございます。俺は、
松岡陽和(まつおかひより)です」
「ネコ見つかって、良かったですね」
 私は、ネコの話の話題に変えた。
「はい。本当にありがとうございます。あ、
そうだ。お礼に俺の家に来ませんか?」
「いや、ただ私はネコを探しただけですから」
 松岡陽和という男は、私に強い眼差しを向
けてきた。
 彼はカジュアルスタイルの服装。金髪で目
が小さく、細マッチョ。身長は約一八〇㎝で
あろうか。年齢は、三十歳くらいかな。
 本物の外国人がいるように思えた。こんな
イケメン今まで見たことがない。
「いや、是非家に来てください」
 だから、私そんな気分じゃないし。
「いやいや、申し訳ないですから」
 いや来てくださいと彼は強い口調で言って
きたので私は断ることができなかった。
「い、いえ、あ、あ、はい。分かりました」
「よし、行こうぜ!」
 彼は私の右手を掴み、左手にはピヨを持っ
て歩き始めた。
「どこに住んでいるんですか?」