らないだろうけど、俺達の知らない所でバイ
トしてお金貯めて、やっと夢叶えられるかも
しれないって時になんでお前が入ってくんだ
よ!」
 ……才能見極め人。昇哉さんが、あの松岡
さんだからって言った理由これだったんだ。  
 そんな凄い人だったとは。
 ってか松岡さん、どういう会社で勤めてた
んだ?
 コバさんが林総理大臣に言いたい事を言っ
た瞬間、松岡さんが低い声で話しかけてきた。
「……コバ、俺がバイトしてるの。知ってた
のか?」
 コバさんは笑顔で答えた。
「ひよっち、知ってたよ。夜に散歩してたら、
コンビニでバイトしてんだもん。驚いたわ」
 彼は、コバさんに無理な笑顔を作っていた。
「ありがとな。でも、これは俺の問題だ。コ
バは、昇哉さんと話の続きをしろ」
「……分かった」
 コバさんは、松岡さんの言うことを聞きい
れて、素直にテーブルへ戻った様子であった。  
 だが、昇哉さんにはトイレに行くと言って
その場を離れたようだった。
「陽和。いい友達持ったな」
「親父、ネコカフェはやってくれるんだろう
な」
「ああ、責任は太橋さんが持つよ」
 林総理大臣は、太橋さんを見て言った。
 太橋さんは頷いていた。
「……分かりました。では一つ条件がありま
す。ここで作るにあたり、私の希望通りにし
て作っていただきたい」
 林総理大臣は、松岡さんの目を凝視して頷
いていた。
「……いいだろう。その条件は叶えてあげら
れる。ねぇ、太橋さん」
 当たり前のことだが、彼にとっては林総理
大臣と太橋さんが信用ならなかったのだろう。
 だからこの条件にしたのだと思う。
 林総理大臣は、最後の言葉のねぇが太橋さ
んに圧力を掛けているようであった。
 間を置いて太橋さんは、は、はい勿論です
と言っていたが、林総理大臣の言葉に強張っ
ているように見えた。
「……今日はわざわざありがとうございまし
た。太橋さん、後日会いましょう」
 松岡さんは、二人に礼をした。だがその様
子は、敬意を示しつつも顔は睨んでいるよう
であった。
「……陽和……では帰るとしよう。太橋さん」
 松岡さんを見てから林総理大臣は、不敵な
笑みを浮かべながら言った。
「……はい。では、また連絡しますね。話は
ついたので、帰りますか。総理。では、また
ね。陽和さん」