ってんのか良くわからないけど……」
 そうひっそりと彼女は言っていたが、コバ
さんに丸聞こえだ。
「……おい、くるみ。丸聞こえだぞ。こいつ
に、なに話してんだよ! こいつは知らなく
てもいいんだよ、別に」
「そうやって女性には冷たいのね、最低―。
でも、夢を叶える人はここの仕組みは知るべ
きでしょ。それより、コバは何しにきたの。
今さら」
 コバさんは、体をモジモジしながら目を逸
らしつつ私たちに発した。
「ひ、ひよっちに、謝りにきたんだよ」
「謝りにきた? あなた達、もう会ってたの。 
また、コバ怒鳴って陽和を怒らせたんでしょ」
 彼は、身を狭めた。
「はい、そうです」
「はあ……あんた達は。何年間の付き合いだ
と思ってんの。大体は陽和が忘れてるから大
丈夫だと思うけど……今日は陽和いないわよ」
「え? なんでだよ!」
「私にキラれても困るんですけど。まあ、じ
き帰ってくるでしょ。待ってたら」
「……いや、帰る」
「はあ? なんで待ってばいいでしょ。どう
せ、陽和帰ってくるんだから」
 くるみさんの意見が正しいと思ったので、
私は彼に言った。
「あの―待ってればいいじゃないですか? 
その内来ますし」
「うるせぇよ。お前は、黙ってろよ」
 そう言った時、私は言葉を発した。
「松岡さん」
 くるみさんとコバさんは、後ろを振り返っ
た。
「ひよっち」
「陽和」
 くるみさんとコバさんは松岡さんの名前を
呼んだ。
 くるみさんとコバさんは向き合い話あって
いたので、私は松岡さんがいることに気づい
た。私たちは玄関で言い争っていたので、松
岡さんがいつから行ったのか分からない。
「コバ。陽琉をそんなふうに言っていいのか
な。ましてや、新人の子に? いいのかな?
コバ」
 松岡さんは、左手にはビ―ルらしきものと
ピヨに餌をやるためか餌のようなものが袋に
入っていた。
「……ひよっち、昨日はゴメン。俺が悪かっ
た。夢は見るもんじゃないなんて……でも、
夢は叶いたい。現実厳しいかもしれない。外
に出て放浪して気づいたんだ。俺はカメラの
センスないかもって。だから、反論した。ゴ
メン。俺は、カメラしかないんだよ。どんな
に考えても、普通に働いていたら俺じゃない
気がするんだよ。お金貰ってるけど、違うバ