頬張り私に話しかけてきた。
「そうですね、ダメでした」
「まあ、次あるでしょ」
落ち込む私にくるみさんは、大丈夫、大丈
夫とねぎらいの言葉をかけてくれた。
「……でも、何でですかね?」
「何が?」
「あの松岡さんだから、期待したんですけど
ねってどういうことですか?」
私はくるみさんに聞いた。
小さい顔がすごい引きつった顔つきになっ
ていた。
聞かない方がいいことだったのか。
でも聞かないと分からないことだってある。
私だけ分からないのは違うのではないか。
「……あ―あれか。そんなこと言ってたの。
ふ―ん、その件については知ってた方がいい
かもね」
右手に抱えていたビスケットの袋を持ち、
ビスケットをパクっと口に入れてから、私を
見て言った。
「陽和はね。林総理大臣の息子なの」
えー! あの林総理大臣の息子!
あの人が? 私は目を泳がせた。
「無理もないわよね。陽和はその事について
は言わないからね。陽和はね、あの林総理大
臣の息子だけど、色々事情があってねえ」
くるみさんは、これ言って大丈夫かな?
と首を回してちらっと私を見た。
「教えて下さい。私だけ知らないのは嫌です」
まあ、そうよねと彼女はビスケットの袋を
近くにあったゴミ箱に捨てた。
「陽和は総理大臣の息子だけど、養子なの。
総理大臣の母親は、子どもがひとりも産まれ
なかったんだよ。それで、なんとしてでも子
どもがほしかった総理大臣は、児童養護施設
である兄弟を見つけたんだ」
「兄弟?」
「そうだよ。陽和以外に弟がいるんだ。でも
兄弟で総理大臣の家に住むことになったんだ
けど、環境の変化が激しくてね。私が知って
いるのはここまでだけど。確実に言えるのは、
ネコが原因で追い出されたって聞いたけど。
後は、私は知らない」
そう言った後、くるみさんは一瞬悲しい顔
をしていた。
「そうですか……か。今日の田中さんといい、
つてがあると松岡さん言ってましたけどあれ
は林総理大臣の息子だからですか?」
あ―そこよねと彼女はそう言って、ニコリ
と笑顔で答えた。
「……そこは後々わかるよ。総理大臣の息子
だからっていうわけじゃないと思うけど」
彼女はニヤリと意地悪な顔をしていた。
「わ、分かりました」
「まあ、分かればいい」
「そうですね、ダメでした」
「まあ、次あるでしょ」
落ち込む私にくるみさんは、大丈夫、大丈
夫とねぎらいの言葉をかけてくれた。
「……でも、何でですかね?」
「何が?」
「あの松岡さんだから、期待したんですけど
ねってどういうことですか?」
私はくるみさんに聞いた。
小さい顔がすごい引きつった顔つきになっ
ていた。
聞かない方がいいことだったのか。
でも聞かないと分からないことだってある。
私だけ分からないのは違うのではないか。
「……あ―あれか。そんなこと言ってたの。
ふ―ん、その件については知ってた方がいい
かもね」
右手に抱えていたビスケットの袋を持ち、
ビスケットをパクっと口に入れてから、私を
見て言った。
「陽和はね。林総理大臣の息子なの」
えー! あの林総理大臣の息子!
あの人が? 私は目を泳がせた。
「無理もないわよね。陽和はその事について
は言わないからね。陽和はね、あの林総理大
臣の息子だけど、色々事情があってねえ」
くるみさんは、これ言って大丈夫かな?
と首を回してちらっと私を見た。
「教えて下さい。私だけ知らないのは嫌です」
まあ、そうよねと彼女はビスケットの袋を
近くにあったゴミ箱に捨てた。
「陽和は総理大臣の息子だけど、養子なの。
総理大臣の母親は、子どもがひとりも産まれ
なかったんだよ。それで、なんとしてでも子
どもがほしかった総理大臣は、児童養護施設
である兄弟を見つけたんだ」
「兄弟?」
「そうだよ。陽和以外に弟がいるんだ。でも
兄弟で総理大臣の家に住むことになったんだ
けど、環境の変化が激しくてね。私が知って
いるのはここまでだけど。確実に言えるのは、
ネコが原因で追い出されたって聞いたけど。
後は、私は知らない」
そう言った後、くるみさんは一瞬悲しい顔
をしていた。
「そうですか……か。今日の田中さんといい、
つてがあると松岡さん言ってましたけどあれ
は林総理大臣の息子だからですか?」
あ―そこよねと彼女はそう言って、ニコリ
と笑顔で答えた。
「……そこは後々わかるよ。総理大臣の息子
だからっていうわけじゃないと思うけど」
彼女はニヤリと意地悪な顔をしていた。
「わ、分かりました」
「まあ、分かればいい」