顔をして私に言った。
「俺のつてで、出版社がいてな。それで、陽
琉について頼んでみたんだ。そしたら、そう
いうことでしたら、明後日伺いますので小説
を少しでもいいので書き終えてくださいって」
「え、私の小説読んでもらえるんですか?」
「ああ。だから、これがチャンスだ。陽琉の
客が来るようにこちらで考えてる。小説家は
文才があるかないかだ。まずは、一人だけの
お客様を設けた。明後日、来るのがその人だ。
小説家になるためのコツなどいろんなことを
教えてくれるだろう。どうだ? やってみな
いか?」
 まだ小説家になりたいのかどうかさえ分か
らないのに、夢の実現の第一歩。
 私には小説家として仕事をしていく上で、
才能があるのだろうか。
 自信がないし、才能がないのではないかと
思えた。でも、挑戦してみたい。
「私に才能があるかどうか分かりませんが、
やってみたいです」
「よし、決まった。じゃあ、明後日までに小
説書いてきてね! よし、やった―、楽しみ
だな。あ、待って。俺、その日居ないんだ。
はあ―、陽琉頑張ってね。はあ―もう。陽琉
の晴れ舞台が見れないとは悔しい!」
 ため息をついて彼は落胆していた。
「いや、そこまで落ち込まなくても……大丈
夫ですから」
 落ち込むことないだろう。
 私の問題なのに。
「……まあ、陽琉。明後日、頑張れ! あの
人は、陽琉と合うと思うしな。明後日か」
 松岡さんはそう呟いて、壁に貼られてある
カレンダーを見て、何かを考えているようだ
った。
 返事をしたはいいが、本当に叶えたい夢は
叶えられるのか疑っていて、信じていなかっ
た。