日は部屋に戻り、明後日の最終面接の準備を
し始めた。
 一通の封筒が来てから、二日が経った。
 今日がA面接の最終面接。今まで頑張って
きたことを今日全部やってきたことを吐き出
す。
 部屋でス―ツを着て、鏡で私の姿を見て、
よしと襟を揃えて部屋を出た。
 階段を降りて、玄関で靴を履き家に出よう
としたが、母親が私に声をかけてきた。
「頑張ってらっしゃい!」
 母親は、私に行ってらっしゃいと言い、私
の手にのど飴を渡した。
「……なんでのど飴なのいつも」
 母親は、なにかあればのど飴を私に渡して
くる。
「いいじゃない……別に」
 私はため息をつき、仕方なくのど飴をカバ
ンにしまい、母親に行ってきますと言い、外
に出た。外に出て歩き始めたらカバンの中か
ら前にきた一通の封筒があるかを確認した。 
 そして、近くにあるバス停まで歩きながら、
一通の封筒の中身を見ていた。
 すると、私は目を疑った。面接室で十時に
面接ですと書かれていた。
 はい? え、ちょっと待ってよ、落ち着け
私。震える右手を左手で押さえて、左手首に
あった時計を見た。
 今は、十時。
 あれ? 十一時半じゃなかったっけ? も
う一回、封筒を確認した。
 何回見ても、十時であった。だが、遅刻を
しているがまだ間に合うかもしれないとその
時の私は思った。
 私自身もよく分からないが、A会社に行け
ばなんとかなると思ったのだ。
 封筒をグチャグチャになりながらも無理や
りカバンに入れた。
 早足で近くにあるバス停に向かい、もう結
果は決まっているのにA会社に向かった。
 A会社に着くと、受付嬢に今日の十時の面
接にきた者ですが、面接は終わりましたでし
ょうかと聞いた。
 すると、受付嬢は
「面接は、先ほど終わりました」
 受付嬢は、ニコリともせずに私に言った。
 不合格と分かり切っているのになんでバス
を乗り継ぎダッシュできたのだろう? と私
の行動に今更後悔していた。
 受付嬢は、淡々と私に言っていたようだっ
たが、馬鹿にされている気がした。
 私なりの仕事をきちんとやっているのに、
あなたは面接に遅刻して……ちゃんとしなさ
いと受付嬢に言われているような顔つきであ
った。
 受付嬢に礼を言い、トボトボ歩き始めた。