私は我に返って、夏帆を見た。私は呆然と
立っていたのだ。
「……あ、うん。大丈夫。なんか疲れてるみ
たい。さっき帰るね、じゃあ」
 夏帆は、苦笑いを浮かべてじゃあと私に言
った。夏帆と別れた後、私はバスに乗るため
に数分歩いた所にあるバス停に向かい、歩い
た。
 何も考えたくなかった。
 この頃、会社の面接ばかりやっているせい
かなんか頭が働かないし、内定ゼロという現
実を見たくなかった。
 太陽が照らす中、バスを降り家に帰った。
 すると、私が玄関を開けると、母親の声が
家中に響いた。
「陽琉? 帰ってきたの?」
 母親は、リビングでくつろぎながら、私に
聞いてきた。
「帰ったけど」
 私はそう言い、靴を脱いで綺麗に揃えた後、
リビングに向かった。
「なに?」
 母親は、テレビを見ながら私に言った。
「あなたからきてたわよ」
 母親はそう言い人差し指で指した方向はテ
ーブルであった。テ―ブルには一通の封筒が
置かれていた。その封筒を手に取ると、私が
こないだ受けたばかりのA会社であった。
 A会社の面接は、別に受けるつもりなんて
なかった。
 でも、就活生だけの説明会に行った時に、
実際働いている人に話を聞いた際、私なら続
けられる仕事であった。
 また文具用品を扱っていることから少しだ
け私は関心があったので受けてみた。
 本当に、最終面接まで受かると思わなかっ
た。私は、面接官を見ていたけど、面接官の
目は怖かった。
 面接で言うことは大体私の頭の中で決まっ
ていて、自分が思っていることと反対に適当
な言葉を並べて言おうとしていた。
 そう決めていたのに、あの面接会場へ行く
と空気が一変していた。気持ちに負けてしま
うほどの圧力を感じる。事前に考えてきた言
葉は頭から抜けて、私は思ったことをはっき
り言った。
 私が言ったのは、この会社には最初受ける
つもりなんてなかったけど、関心を持ってい
る仕事内容であったため受けましたと。
 内容的にはいいとは思うが、面接官の目は
そんな甘くないぞと言っているように感じて
本当のことを言うのではなかったと思い、反
省していたのだ。
 そんなことよりも私は最終面接に残った。
 それだけで私は希望を持ってた気がした。
 最終面接は、明後日。
 よし、頑張るかと私に言いきかせて、この