めな男性にかき消されて、くるみさんの所へ
早々と行ってしまった。
「くるみちゃん、今日も可愛いね。やっぱり
俺の事務所来てよ。なんでダメなの―」
 どこかの事務所の方だろうか、くるみさん
に世間話をしている。
 その人は秋なのに半袖、半ズボンを着てい
た。眼鏡をかけており、体型は太めでいかに
もくるみさん狙いであった。
「え―! くるみは、早下さんのものじゃな
いし―」
 く、くるみさん。
 さっきと別人なんですけど、しかもポ―ズ
を決めて。もしかして仕事モードのスイッチ
入った?
 よ、よく分からないが、その集団はいかに
もくるみさんのファンのように思われた。
 半分くらいだろうか。半分くらいの者が世
間話をしていたら、一人の男性が手を挙げた。
 同じような者がいる中でその男性だけは、
ビシっとネクタイをしていた。上までボタン
を締めて、まさに優等生であった。
 その男性だけはその集団から少し離れてひ
とりポツンと後ろで見ていた。
「なんですか? 昇哉」
 昇哉という人は、真っ直ぐくるみさんを見
て言った。
 中年集団はくるみさんから目を離して、一
斉に昇哉を見た。
 くるみちゃん、なんであいつだけ呼び捨て
なんだよ、ずるいと言っていた。くるみさん
は中年集団の言っている言葉を無視して、昇
哉を見ていた。
「早く始めないか。いつもはすぐ始めるだろ
う? もしかして、新人の子が来たから見せ
付けたいのか」
 昇哉は親指で後ろをさした。それは、私の
方を向いていた。その方向を辿るように、中
年集団は私を見てきた。
 え、え―みんな見てくる。
 私はどうしたらよいか分からず、目をキョ
ロキョロさせた。
「あの子、困ってるだろ? 皆ジッと見るな」
沈黙を破ったのは、昇哉だった。
 しかし、最初に言ったのは昇哉ではないか。
 何故そんなことを言うのかと文句を言いた
くなった。
「はいはい、分かりました。やりますよ。待
っててね」
 とくるみさんは言い、居間に行き戸を閉め
て何かをし始めた。
 中年集団と昇哉は、カバンからカメラを出
して、スタンバイしていた。
 すると、くるみさんが戸を開けて
「お待たせ―」
 と言い中年集団と昇哉に手を振っていた。
 くるみさんはさっきの格好とは違い、水着