図書室に来て、だいぶ経った。
 三十分ほどは待っただろう。
 けれど快は来なかった。

 おかしいなぁ、なにかあったのかな。

 美久はだんだん不思議に思いはじめた。
 快が約束を忘れているはずもない。だってもう毎週の習慣になっていたのだから。
 だからなにか急な用事が入ったとかかもしれない。
 でも美久のスマホにはなにも連絡がなかった。遅くなるとか、あるいは来られないとかなら連絡をくれるだろうに。
 付き合うことになった翌日に、スマホの連絡先は交換していた。それから毎日、毎晩のようにやりとりしていた。だから連絡先がわからないから送ってこられないということはない。
 送ってこられないとしたら、用事で立て込んでいるとかかもしれなかった。
 それから十分ほどが経った。
 快は来ない。
 美久ははっきりおかしい、と思った。
 なにかがあったのだ。
 ためらった。
 待っていたほうがいいのかもしれない。だって、美久がここで待っているのは知っているだろうから。
 でももう随分待ったのだ。ここにずっといても無意味かもしれない。
 よって美久はスマホで『どうしたの?』とメッセージを入れてから図書室を出た。
 一人で帰ってしまうことはないだろうから、多分学校内にいるだろう。快がいそうな場所を探してみようと思ったのだ。