「留依ちゃんの部屋、とってもかわいいね」
 通された部屋を見て、美久はついそう言ってしまった。
「そう? ありがとう! 結構うまくコーディネートできたんだ!」
 留依は褒められて嬉しそうにしてくれた。アイボリーを基調とした室内で、カーテンや小物など、差し色はピンク。ほわっとしたやわらかさのある、女の子らしい部屋だった。
 今日は留依の家にお邪魔していた。引っ越してもう一ヵ月と少し経つ、留依の新しい家はとても綺麗だった。持ち家だとか賃貸だとか、そういう種類は勿論わからないけれど、とりあえず新しいのは明らかだった。
 一軒家で、留依の部屋は二階。階段をあがってすぐ。
 留依のお母さんにも久しぶりに会った。留依とそっくりで美人のお母さんだ。
 美久を見てすごく喜んでくれた。「大きくなったわねぇ」と。
 そして「かわいい髪型ね。黒髪がとってもきれい」とも褒めてくれた。
 それには美久も嬉しくなったけれど、留依も「一緒にサロンに行ったんだよ!」と誇らしげに言っていた。
 そんな留依の家、留依の部屋にお邪魔した理由はテスト勉強である。
 来週は期末テストがあるのだ。二学期最後のテスト。しっかりテスト勉強が必要になる。
 けれど留依はちょっと困っているようだったのだ。
「結構範囲が違うんだよねぇ。前の学校、ちょっと遅れてたみたい」
 前からそう言っていた。頑張り屋の留依だ、範囲の遅れを取り戻そうと勉強にも力を入れているのを知っていたけれど、なかなかすぐにというわけにはいかないだろう。
 今回のテストに関してもそうだ。テスト勉強がなかなかうまく進まないと言う留依に、美久が提案した。
 「一緒にやろうか? わからないところがあったら教えるよ」と。
 留依はもちろん「いいの!? 助かるよ!」と顔を明るくしてくれて、そして本日。留依の部屋で勉強会となった次第だ。