「うおー…、女子高生にアイゼン…。ここは東北?…」
乗り換えの草津駅に着くと、景色は 一面銀世界になっていた。トンネル抜けたら雪国だったというわけだろうか?
スプリングコートで薄着のシオンは 背中にブルッと寒さを感じる。
駅には なぜか女子高生が たくさんいるが、皆 コートは着てないのに スニーカーには簡易アイゼンを付けている。そのちぐはぐさと、都会で積もる雪など もう何年もみていない白の世界に、シオンは ちょっとしたカルチャーショックを受けた。
朝、茅葺き宿の縁側に立つと 庭は雪化粧をほどこしていて、シオンのテンションは 独りでも上がった。昨夜が寒かったわけだ。
早速、写真をとって 仕事場の先輩に送る。もちろん ちゃんと、つぶやいとく。
茅葺き宿の朝食は地元野菜で作られた自家製漬物と、特産の茶粥。もともとシオンは中国茶が好きで、ほうじ茶で作られた茶粥が 二日目朝に出された時は興奮した。
今日は、朝食を運んでくれる 宿のオバアちゃんに 急遽 チェックアウトする旨を 申し訳ない気持ちで伝える。
「予定日数の 明日の料金も払います。すいません。」
シオンは空になった容器の隣に 使い終わった箸をそろえて、オバアちゃんに 謝罪の両手を合わせた。
朝食時 いつも その日の予定を伝えたり、茅葺き宿で行われるイベントを知らせてもらったりが 一週間の宿泊ルーティン。
オバアちゃんは、シオンが朝食を食べる間も ニコニコしながら座って いろいろ伝えてくれるのだ。
「ありゃ、シオンちゃん もう帰るんかい。雪 ひどくなるよって 出るなら早めに車回してもらうわな。ほんでも、長く使ってもらったから 寂しいわな。そんで シオンちゃん 次はいつ 来るの?」
お膳を手にしながら オバアちゃんは 本当に寂しい顔をしている。
「身内の お通夜に出ることになってしまって。わたしも 残念だけど、絶対また来年くるね。本当に来て良かったです。ありがとうございました。」
絶対やで、絶対きてやと オバアちゃんはいいながら 信楽駅に行くための車を回すため 電話をかけにサンダルを履いて出て行った。
その姿に、シオンは やっぱり申し訳なく感じてしまう。
それこそ 早々年末に来ようかなと思ってしまう。
この茅葺き宿では、農村行事の体験も たくさん出来て、年末は注連縄作りもある。 この間の映画上映イベントの時に シオンはスタッフに聞いたのだ。とても興味ある。
もともと、自分の生まれた家のルーツを訪ねる旅で シオンは滋賀には来たのだ。
だからだろうか、まるで ここが ふるさとのように錯覚、いや そもそも原点の土地か?うん。
この一週間、シオンは前世の旅に来たみたいな気持ちに なっている。
駅に送ってもらう 軽トラックからは、ソメイヨシノよりも 早く開花をする山桜が満開だ。なのに、雪をかぶっているという なんとも不思議な光景が続く。
こーゆーのを異常気象っていうのだろうかと、シオンは白い息を吐いた。
そうすると
「寒むないか?上着おっつかんやろ?」と運転してくれるオジさんが ニカッとして聞くるのだ。
「大丈夫ですよ。街にでれば 雪もないでしょうし。一応 これ、春物のコートですから。」
と 笑顔で答えたら、オジさんは 今度は ちょっと眉をひそめて、
「どやろなあ、街んほうが雪かもな」とぼやいた。
なるほど。
送ってもらった信楽駅から 乗り換えての 草津駅。
着いて その雪に驚愕したが、草津は信楽より よっぽど東北になっているじゃないか!。
簡易アイゼンって、みんな常備するんだねー。
と、シオンは 女子高生をみながら 寒さで ちょっと気が 遠くなった。
乗り換えの草津駅に着くと、景色は 一面銀世界になっていた。トンネル抜けたら雪国だったというわけだろうか?
スプリングコートで薄着のシオンは 背中にブルッと寒さを感じる。
駅には なぜか女子高生が たくさんいるが、皆 コートは着てないのに スニーカーには簡易アイゼンを付けている。そのちぐはぐさと、都会で積もる雪など もう何年もみていない白の世界に、シオンは ちょっとしたカルチャーショックを受けた。
朝、茅葺き宿の縁側に立つと 庭は雪化粧をほどこしていて、シオンのテンションは 独りでも上がった。昨夜が寒かったわけだ。
早速、写真をとって 仕事場の先輩に送る。もちろん ちゃんと、つぶやいとく。
茅葺き宿の朝食は地元野菜で作られた自家製漬物と、特産の茶粥。もともとシオンは中国茶が好きで、ほうじ茶で作られた茶粥が 二日目朝に出された時は興奮した。
今日は、朝食を運んでくれる 宿のオバアちゃんに 急遽 チェックアウトする旨を 申し訳ない気持ちで伝える。
「予定日数の 明日の料金も払います。すいません。」
シオンは空になった容器の隣に 使い終わった箸をそろえて、オバアちゃんに 謝罪の両手を合わせた。
朝食時 いつも その日の予定を伝えたり、茅葺き宿で行われるイベントを知らせてもらったりが 一週間の宿泊ルーティン。
オバアちゃんは、シオンが朝食を食べる間も ニコニコしながら座って いろいろ伝えてくれるのだ。
「ありゃ、シオンちゃん もう帰るんかい。雪 ひどくなるよって 出るなら早めに車回してもらうわな。ほんでも、長く使ってもらったから 寂しいわな。そんで シオンちゃん 次はいつ 来るの?」
お膳を手にしながら オバアちゃんは 本当に寂しい顔をしている。
「身内の お通夜に出ることになってしまって。わたしも 残念だけど、絶対また来年くるね。本当に来て良かったです。ありがとうございました。」
絶対やで、絶対きてやと オバアちゃんはいいながら 信楽駅に行くための車を回すため 電話をかけにサンダルを履いて出て行った。
その姿に、シオンは やっぱり申し訳なく感じてしまう。
それこそ 早々年末に来ようかなと思ってしまう。
この茅葺き宿では、農村行事の体験も たくさん出来て、年末は注連縄作りもある。 この間の映画上映イベントの時に シオンはスタッフに聞いたのだ。とても興味ある。
もともと、自分の生まれた家のルーツを訪ねる旅で シオンは滋賀には来たのだ。
だからだろうか、まるで ここが ふるさとのように錯覚、いや そもそも原点の土地か?うん。
この一週間、シオンは前世の旅に来たみたいな気持ちに なっている。
駅に送ってもらう 軽トラックからは、ソメイヨシノよりも 早く開花をする山桜が満開だ。なのに、雪をかぶっているという なんとも不思議な光景が続く。
こーゆーのを異常気象っていうのだろうかと、シオンは白い息を吐いた。
そうすると
「寒むないか?上着おっつかんやろ?」と運転してくれるオジさんが ニカッとして聞くるのだ。
「大丈夫ですよ。街にでれば 雪もないでしょうし。一応 これ、春物のコートですから。」
と 笑顔で答えたら、オジさんは 今度は ちょっと眉をひそめて、
「どやろなあ、街んほうが雪かもな」とぼやいた。
なるほど。
送ってもらった信楽駅から 乗り換えての 草津駅。
着いて その雪に驚愕したが、草津は信楽より よっぽど東北になっているじゃないか!。
簡易アイゼンって、みんな常備するんだねー。
と、シオンは 女子高生をみながら 寒さで ちょっと気が 遠くなった。