月が改まった。 「おばあちゃん、少し早いけど誕生日おめでとう」 そういうと、萌々子は紙袋に入ったプレゼントを操に手渡した。 「あら、ありがとう」 開けてみると、和柄の縮緬で作られた扇子カバーが2本入っている。 「おばあちゃん、よく扇子使うからこれかなって」 「ありがとう」 早速使ってみる、といって金銀の扇子を差して、帯に挟んでみた。 「あら、着物にもぴったりだわ」 カバーの端に、房のついた花結びの飾り紐までついており、操は上機嫌で即興で謡に合わせ、舞い始めたのであった。