鎌倉のあちこちで梅が満開を迎えた頃、萌々子は完成したトランプ柄のロリータ服で外へ出た。
花屋に、慶がいる。
が。
慶はどうしたことか、髪を坊主に丸めているのである。
「…どうしたの?!」
萌々子は仰天した。
「あ、これね…実は料理のときに髪に引火してもうて」
チリチリになったから思い切って坊主にした、と慶はいうのである。
「みっともないけど、しゃーない」
慶は苦笑いを浮かべた。
「…あ、お慶さん?」
「どないしたん?」
「ちょっと…相談いいかな?」
「構へんで」
慶は店の前にあるベンチへ萌々子を促した。
「実はね、ちょっと考えてることがあって」
と萌々子は、名前を伏せて駿太郎からいわれた服装の話をした。