「本当は、家ではそんな態度はとる必要はないけど、すっかり身に付いてしまった」


　そうだったんだね。


「……あと……」


　……？


「……お前に……」


　……？


「……がっかり……されたくなくて……」


　え……？


「……あのときみたいな……あんな思い……したくなくて……」


　市野瀬くん……？


　気のせいだろうか。
　市野瀬くんの顔がほんのり赤くなっていくような……。


「……好き……な女に……またフラれることなんて……そんな思い……したくなくて……」


　…………。

　……ん？

　…………。

　……っ⁉

　えぇっ⁉


「……あ……あの……市野瀬くん……？」


　これは……。


「なんだよ」


「……あの……私……ちょっと……今一つ理解が……」


　私の……。


「あぁっ⁉」


「……その……つまりは……」


　勘違いなのだろうか……。


「お前はバカなのか」


「バ……バカって……」


　それとも……。


「ここまで言ってなんで気付かねぇんだよ」


「あ……あの……」


　本当に……市野瀬くんは……。