曲がり角を曲がったときに誰かにぶつかった。
ぶつかった勢いで、ぶつかった誰かの持ち物が道に落ちて散らばってしまった。
私は「すみません。大丈夫でしたか」と言いながら道に散らばってしまった物を拾おうとした。
すると、私とぶつかった人が慌てるように散らばってしまった物を拾って、私が拾う前に拾い終えていた。
私とぶつかった人が散らばってしまった物を拾い終えて顔を上げた。
そのとき私は、その人と思いきり目が合った。
えっ⁉
私は、その人の顔を見たとき、とても驚いた。
なぜなら……。
「市野瀬くん……⁉」
私とぶつかったその人は市野瀬くんだった。
今の市野瀬くんは、いつもの険しい顔をした市野瀬くんとは違い、とても驚いた顔をしていた。
そんな市野瀬くんの表情はとても新鮮に感じた。
「びっくりした、こんなところで市野瀬くんと会うなんて」
私は市野瀬くんにそう言っていると、
「……か?」
……ん? なに? 『か』って?