見えてない?
周りを見回すと、私にはやはりハートと数字がハッキリと見えている。
コレは、一体……
もしこの数字が私にしか見えてないのだとしたら、アノ数字は一体なんの意味があるんだろう。
年齢……だとしたら、どう見てもおじいちゃんに20とか出てるし。
制服来た高校生に30は無いだろう。
血圧?
いやいや、それで30とか20とかどれだけみんな低血圧なの?
大体なんで私にだけ突然、周りの人の血圧が見えるように?
ハートだから……心拍数とか?
う~んっ……皆目なんの数字なのか検討がつかない。
「小夜、そういえばプリラバやった? 面白かったでしょ?」
「えっ? プリラバ?」
「昨日教えたゲーム~、ダウンロードしたって昨日メッセージくれたじゃん?」
「あっ、あ~うん、アレやったよ面白かった」
そのゲームのせいで朝は寝坊し、睡眠不足からか今よくわからない幻覚が見えてるのだが……
「アレ、好感度上げるのが結構大変でね~メインストーリーはドンドン進められるけど、キャラクターごとのストーリーは好感度上げないと見れないんだよね」
「好感度……?」
「そうそう、ほらあのキャラクターの隣にあるハートの下に数字があるでしょ?」
「ハートの下に……数字……」
尚子ちゃんのその一言に、私は座席から思わず立ち上がり叫んでいた。
「好感度っ!!」
「ちょ、ちょっとちょっと小夜! いきなりどうしたのっ!?」
周囲の視線が一気に私に集まる。
慌てて、尚子ちゃんが私の腕を掴み座らせた。
「ご、ごめん……」
「一体どうしたのよ、急に……」
確証はないけど、コレは好感度かもしれない。
私はそう思いながら、会社に着くのを静かに待った。
10分後──
バスから降りて、会社のビルに向かう中やはり男性達にはみんな頭の上にハートと数字が出ているのが見えた。
「おはよう」
「あっ、課長おはようございます」
「おはよう……ございます」
課長の頭の数値は、40。
さっきバスにいた人達より高いのは、やはり顔見知りだからだろうか?
そういえば、この数字、MAXの値はいくつなんだろ?
50って事はないだろうし……
やはり100とかだろうか?
「尚子、小夜ちゃん、おはよう!」
後ろからガバっと抱きつかれた。
今日はいつになく美里さんはご機嫌だ。
昨日の合コンが上手くいったのだろうか?
「おっ、もしかして昨日の合コン当たりだったの?」