「うん」
君島さんはニッコリと微笑んだ。
「ま、待って下さい! 入間さんは関係ないじゃないですかっ!?」
「関係……なくないよ、だって奏はキミの上司でしょ? 部下の失態の責任は上司である奏にある」
「そんな……」
「どうする? 僕と付き合う? それとも……」
その時──
私の目の前に、アノ選択肢が表れた。
『彼を助けますか Yes/No』
コレは……
つまり、私が君島さんと付き合う事で入間さんを助けるという事なんだろうか……
私の事を好きではない、多分遊び半分で入間さんや私を困らせたい為だけの君島さんと付き合う。
もし、今の私が一週間前の私だったら、私は入間さんを助けていないと思う。
だけど──
今の私は、本当の彼を知ってしまったから……
私は、迷わなかった。
イエスを選ぶ事に……
「わかりまし……」
「長浜!!」
私が君島さんへ返事をしようとした時、聞き覚えのある声がした。
振り向けばそこにいたのは、入間さんだった。
「長浜はそんな事をしなくていいから」
「入間さん」
「奏……」
入間さんは私の手を引き、ベンチから立たせると私を庇う様に君島さんと私の間に立った。
「コイツはいつもそうなんだ……学生の頃から僕が好きになる人をこうやって横から奪って……飽きたらすぐに別れるを繰り返して……」
君島さんは黙っていた。
「 僕は、長浜が好きだ……誰にも渡したくない、もちろん君島オマエにも……」
「か……かなで~……」
見ると、何故か君島さんはハラハラと涙を流していた。
「き、君島オマエなんで泣いて……」
「良かった~……良かったよ……オマエちゃんと好きな子に好きって言えるようになったんだな~……」
「はっ!?」
君島さんは号泣していた。
もうそれは、涙や鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら子供の様に号泣している。
しばらく君島さんは泣き続け、ようやく落ち着きを取り戻し、私と入間さんは君島さんから一体どういう事なのか話しを聞いた。
「学生時代、奏ずっと好きだった子がいたろ……? それなのに何故かその子にやたら冷たく当たってて、僕が彼女に告白したらさすがに焦るかと思ったら……見て見ぬふりしてさ」
ああ、例の入間さんの悪いクセが……
もしかして……君島さんは入間さんを今までずっと焚き付けていたの?
「それで……その後も、やっぱり奏は好きな子に辛く当たって、僕が言ってもムキになって好きな事を否定して……それで……」
「それで……もしかしてワザと入間さんの好きな人にアタックしてたんですか?」