「……僕は長浜が好きだ」
「えっ!?」
突然の再告白に、私は大きな声を出してしまった。
入間さんの秘密って……まさかそれ?
いやいや、でも告白ならこの前バラまで持ってされたワケだし……
それが秘密とは考えにくい。
「ここの部署に配属されてすぐ、歓迎会があったろ? アノ時、僕もまだこっちに戻って来て間もなくてスゴく不安で緊張していた……」
ああ、アレは緊張だったのか……
私は酷く愛想がない人だと、アノ時から入間さんを苦手に思っていたけど……。
「それで、長浜が声かけてくれたろ? 座る場所や食べ物の好みを聞いてくれたり、それからずっと僕に気を使ってくれて……」
確かに、まんまと入間さんの隣になってしまい私なりに気を使ったつもりではあった。
「あの時から、ずっと長浜が気になっていたんだ……だけど」
彼は俯くと口ごもってしまった。
「……入間さん?」
そして、ようやく決意した様に話し始めた。
「信じられない……よな?」
「えっ……?」
心の中を読まれたのかと思った。
確かに私は今、こうして直に告白を受けても全くこの状況が信じられない。
「毎日、長浜にはキツく当たっていたから……本当にすまない」
今度は深々とお辞儀をしてくる。
「昔から……好きな人に、どうしても辛く当たるクセがあって……その嫌いとか気に入らないからとかではなく……寧ろ気に入っているからというか……そのクセがこんな歳になってもなかなか治らなくて」
私はつい、「小学生かよ!?」
というツッコミを思わずしそうになった。
だが、私が思う以上に入間さんのソレは深刻らしく……
「そんなだから、本当に好きな子にはフラれて……僕からは好意を持たないけれど、相手から求められれば付き合ったりもしてたんだ……でも、ここ最近、今までずっと自分の気持ちにウソをついてた事が本当に嫌になって、治そうとしたのだけど……」
その結果が私への今までの態度、という事なんだろうか?
「やはり、なかなか治らなくて……」
「でも今は、普通にこうして私と接してくれてますよね?」
「うん……それには理由があって、それが秘密に関わる大事な事なんだけど」
入間主任は今日もしてきていた、私とお揃いの眼鏡を外した。
「この眼鏡……キミが行っていた店で作ったんだ」
そういえば、その眼鏡は私が買っている眼鏡屋さんのオリジナルデザインだった事を思い出す。