▶入間さん
▶奏さん
待ってましたとばかりに、選択肢が現れた。
私は少し考え……
「じゃあ、入間さん……でいいですか?」
主任……いや、入間さんは嬉しそうに笑った。
私はまたこんな主任の、ううん入間さんの表情を初めて見て、そして今までの彼の印象と大分違うと改めて思った。
「さっ、着いたよ」
「ココは……?」
車に乗って30分ほどで、目的地に到着した。
「植物園……」
「植物園?」
ゲートをくぐって中に入ると、沢山の緑と花々が私達を出迎えてくれた。
大きな南国にありそうな花、果実を実らせていり木も生い茂っている。
「長浜は、観葉植物が好きだって聞いたから」
「えっ? は、はい……」
確かに以前、入間主任の歓迎会をやった時に、みんなに趣味を聞かれて、特別な趣味の無かった私は唯一自宅で育てている観葉植物の話をした。
だけど、入間さんはあまり興味無さそうだったし、まさかあの時の事を覚えていたなんて……
「ここ、僕がよく来る場所なんだ」
「主任も植物がお好きなんですか?」
「うん……好きっていうか、植物の前だと素になれるっていうか」
「素?」
宝石みたいな多肉植物の植えらた花壇の前で入間さんはしゃがみこみ、優しい視線をその葉に送っていた。
「植物は話さないから、僕も話さなくていい」
どういう意味だろう。
入間さんはあまり人と話すのが苦手とか?
すると……
▶もしかして……人と話すのが苦手なんですか?
▶もしかして……何か悩みがあるんですか?
という選択肢が現れた。
私は特に考えず……
「もしかして……人と話すのが苦手なんですか?」
上の選択肢を選んでいた。
「話すのが苦手とはちょっと違うんだけどね……」
はっ!?
この反応はもしかして好感度下がっちゃった!?
数字の方を見ると、特に変化は無い。
(よかった~……)
……じゃない! 全く良くないっ!!
私ったらいつの間にか、入間さんと良い感じになってる事に満足してしまっていた。
確かに、彼は顔も良いし背も高くて、仕事も出来る。
まさに理想ではあるけれど、いつまた、アノ鬼の主任になるかわからないのだ。
だいたい、何でこんな急に彼は私に対して態度が変わったのだろう?
「実は……長浜に秘密にしている事が、あるんだ……」
「秘密?」
なんだろう、その秘密というのがもしかして私への態度が変わった要因なのだろうか?