園の建物へ入ると、すでに明かりは消えていて誰もいなかった。
「サケ子はもう帰ったみたいだね。のぞみももう今日はお終いだ。お疲れ様」
紅が言った。のぞみは頷いて、「お疲れ様でした」と頭を下げて玄関を出る。
だがアパートへの小道を行こうとすると、紅がカランコロンと下駄を鳴らして並んでついてくるのに気がついて足を止めた。
「あの…」
「送って行くよ。暗いし、怖いだろう?」
そう言われてのぞみは、アパートへの小道を見つめる。小道は月明かりに照らされて、それほど暗くはないし、アパートはすごく近い。
ここに来る前ののぞみにだって夜道を歩くことくらいあったのだから、怖いとは思わなかった。しかも神社の中は紅の結界に守られているという話だし…。
「大丈夫です。一人で帰れます」
そう言って歩き出そうとするけれど、手を取られてぎゅっと握られてしまう。
そのあやかしとは思えない温もりに、のぞみの胸がキュンと跳ねた。誰かと手を繋ぐなんて、記憶にある限り小さい頃の兄が最後だ。
「サケ子はもう帰ったみたいだね。のぞみももう今日はお終いだ。お疲れ様」
紅が言った。のぞみは頷いて、「お疲れ様でした」と頭を下げて玄関を出る。
だがアパートへの小道を行こうとすると、紅がカランコロンと下駄を鳴らして並んでついてくるのに気がついて足を止めた。
「あの…」
「送って行くよ。暗いし、怖いだろう?」
そう言われてのぞみは、アパートへの小道を見つめる。小道は月明かりに照らされて、それほど暗くはないし、アパートはすごく近い。
ここに来る前ののぞみにだって夜道を歩くことくらいあったのだから、怖いとは思わなかった。しかも神社の中は紅の結界に守られているという話だし…。
「大丈夫です。一人で帰れます」
そう言って歩き出そうとするけれど、手を取られてぎゅっと握られてしまう。
そのあやかしとは思えない温もりに、のぞみの胸がキュンと跳ねた。誰かと手を繋ぐなんて、記憶にある限り小さい頃の兄が最後だ。