それからみんなで紅が持って帰ったお土産の団子を食べた。駅前の団子屋の主人が、保育園の子らにと言って沢山くれたのだという。
 太一もヒトシも長次郎も鬼の子もみんなで輪になってお腹いっぱいになるまで食べた。
 そして降園時間なり志津が迎えに来た。
「母ちゃん! オイラ今日は仲間がいっぱいできたぞ!」
 抱きついて、早速太一が報告をする。その背中に、鬼の子たちの声がかかった。
「太一、また明日な!明日こそは負けないぜ!」
 太一も振り返ってそれに応える。志津が胸元から出した手拭いで目頭を押さえた。そしてのぞみの方へ視線を送り、ペコリと頭を下げた。
「…先生、ありがとうございます」
 のぞみは慌てて首を振る。
「私は何も…、全て太一君の力です。お友達になりたいという彼の心が通じたのです」
 本当に彼の頑張りには頭が下がる思いだった。全力でぶつかり、決してあきらめない。彼はその小さな身体に計り知れないほどの大きなパワーを隠し持っていたのだ。
 のぞみは少し屈んで、太一と視線を合わせる。そしてにっこりと微笑んだ。
「今日は嬉しいことがいっぱいあったね。先生もすごく幸せな気持ちになっちゃった。ありがとう太一君」
 のぞみの言葉に太一が鼻を掻いてへへへと笑う。照れているのが可愛らしいと再びのぞみが微笑んだとき、母親の方を振り返って少し意外なことを言った。
「母ちゃん、オイラ人間は嫌いだなんて思ってたけど、そうでもないや。大きくなったら、のぞ先生と夫婦になってもいいかい?」