カランコロンと下駄を鳴らす紅と並んで、のぞみは夜の街を歩いている。ネオンに浮かぶ紅の綺麗な横顔をのぞみは不思議な気持ちで見つめていた。
のぞみにとってはすけべなあやかしである紅は、街では"山神神社の宮司さん"として親しまれているようだった。あちらこちらから声をかけられては、機嫌よく応えている。あやかしとしてひっそりと暮しているものと思っていたが、堂々と街に溶けこんでいるのだから驚きだった。
そして街の人たちは、紅が連れているのぞみにも興味津々だった。
「宮司さん、珍しいですね。女性を連れているなんて」
それに対して、普通に新しい保育士だと紹介してくれればいいものを、「ははは、私もそろそろいい歳ですからね」などと言うものだから、そのたびにのぞみは真っ赤になって、否定をすることになった。
それでもそうして、街の人たちとのやりとりしているうちに、のぞみの中の鬱屈としていた気持ちが少しだけ晴れてゆく。少し海の香りが混じる夜の風も頬に心地よく感じた。
のぞみにとってはすけべなあやかしである紅は、街では"山神神社の宮司さん"として親しまれているようだった。あちらこちらから声をかけられては、機嫌よく応えている。あやかしとしてひっそりと暮しているものと思っていたが、堂々と街に溶けこんでいるのだから驚きだった。
そして街の人たちは、紅が連れているのぞみにも興味津々だった。
「宮司さん、珍しいですね。女性を連れているなんて」
それに対して、普通に新しい保育士だと紹介してくれればいいものを、「ははは、私もそろそろいい歳ですからね」などと言うものだから、そのたびにのぞみは真っ赤になって、否定をすることになった。
それでもそうして、街の人たちとのやりとりしているうちに、のぞみの中の鬱屈としていた気持ちが少しだけ晴れてゆく。少し海の香りが混じる夜の風も頬に心地よく感じた。