はぁはぁと荒い息を吐きながら、君島のぞみ(きみしまのぞみ)は、山頂まで続く石の階段を上っている。
 まだ五月だというのに、太陽はじりじりと照りつけて真夏のような暑さだった。吹き出た汗がこめかみからあごへと伝って、ポタポタと落ちた。
「あぁ、もう無理!」
 誰に言うでもなく雲ひとつない空に宣言をして、のぞみは足を止めるとくるりと後ろを向いて階段に腰を下ろす。
 そしてふぅーと長い息をついて、眼下に広がる街を見つめた。