「ぬぁぁぁぁぁっ!! なんなんだぁぁぁコレはぁぁぁぁぁぁっ!! ヤツらの攻撃でないなら夢かっ!? 夢なのか!? ならば覚めろ~っ!!!!」
「あっ、アノ……アナタ、本当にに犬神 蓮……先輩なんですか?」
「だぁかぁらぁっ!! そうだって言ってるだろぉぉぉぉがっ!!」
二頭身のもふもふさんは、短い手足をバタバタさせながら重たそうな頭を振り乱していた。
えっと……この動き、なんて言うんだっけ? アノ、激しいライブとかでみる……
「なんかその動き……なんて言うんでしたっけ? ほら、ヘヴィメタとかの……」
一瞬、もふもふさんの動きが止まる。
「ヘッドバンキング……?」
「そうそうっ! それ!」
「そんな事はどうでもぃぃぃぃぃぃぃっ!!」
確かに。
今はそんな事思い出して、スッキリ~とかやっている場合ではなかった。
「ちくしょうっ!! 覚めない~っ!! なんでだぁぁぁっ!!?」
もふもふさんは枕とベッドの隙間に、頭がハマり込み逆立ちした状態で今度は叫んでいる。
夢、私も夢かもしれないと目を固く閉じて、「覚めろ~覚めろ~」などとやってみたが、一向に覚める気配はない。
コレが夢じゃなく現実だとしたら、何故こんな事になっているのだろう。
こんなの、まるで魔法か何かでもない限り不可能だろうし……
私には皆目見当つかな……
つか……ない?
その時、丁度私の視界には昨日の晩やった、アノおまじないの儀式の痕跡が入って来た。
「ま、まさか……」
急いで机に向かうと、放置されたスマホを手に取る。
『好きな人と仲良くなれるおまじない』
サイトにアクセスしたが、何故かそこには出て来たのは──
404 not found
「ページがない……」
というモノだった。
で、でも、たかがおまじない!
そんな事くらいで……
そんな事くらいで、犬神先輩が私のもふもふさんになってしまうとかありえない。
ありえ……ない、よね?
私は、枕の間に突きさってるもふもふさんを抱き上げた。
「ウォらぁっ!!」
「ぎゃっ!!」
しかし、いきなり頭突きをかまされ、私は後ろに仰け反ってしまう。
「なっ、ナニするんですかっ!? いきなり……」
「貴様、俺の封印されし力を狙っているのだろうっ!!」
「封印されし力……?」
「やはり、普通の人間のフリをしていてもそんなモノ、貴様らには通じないという事なのだな!?」
ちょっとナニ言ってるかわかんないっす……