つまり今までの話しをまとめると……
沢渡さんは犬神先輩の幼なじみ、そして
クラスメイト。
で、魔女の家系で趣味はハッキング。
そして──
沢渡さんが私にやらせたおまじないのせいで犬神先輩は、ぬいぐるみになってしまった。
普通の状態なら、ナニ言ってんだこの人!?
で終わりのトコロだけど、残念な事に今、私の目の前には犬神先輩の魂を宿したぬいぐるみがいて、真剣に竜殺しについての本を読みながら、何やら手足を前に出したり引っ込めたりしている。
「目を狙うんだ! 目だっ!!」
多分、竜を倒すイメトレ中なのだろう。
「僕はね、月見里さん……キミに教えてあげたかったんだよ、キミのその恋は勘違いだったってね」
「勘違い……?」
「そう、恋愛なんて大体勘違いだよ! でもさ、こんな事言葉でいくら言ってもきっと当人にはわからないだろ? 恋は盲目っていうしさ」
勘違い。
そう、言われて私の頭は思い切り殴られた様な衝撃を受けた。
それは──
私の犬神先輩への思いや、今までやってきた事を全て否定する言葉だ。
そして、それよりもショックだったのは……
「待ってください! じゃあ、私のせいで犬神先輩はこんな事になったって事ですか!?」
「まっ、そういう事になるね~」
今こんな風になっているのが、私のせいだという事──
「何で、何でこんな事を!? こんな事しなくても他にも方法が……それに、私が万が一勘違いで犬神先輩を好きだったとして、それが沢渡さんになんの関係があるんですか!?」
種明かしされたトコロでよくわからない。
何故、沢渡さんはわざわざ犬神先輩をこんな風にしてまで、私の恋を勘違いなんだとわからせたかったのか……
「それはね……」
「それは?」
もしかして、沢渡さんは犬神先輩が好き? とか? 幼なじみの親友だったけど、沢渡さんは犬神先輩に伝わらない恋をしていた!? とか!?
「まあ、なんか面白いかな~って思って」
「はっ?」
「いやほら、レンレンを困らせて遊ぶのが僕のルーティンだからさ~、最近マンネリ化して来ていたし、たまたま見つけたこの魔術が使えそうかな~って」
「かな~って……って、そんな理由なんですか!? 本当は犬神先輩が好きで、ヤキモチ妬いてとかではなく?」
「好き? まあ、友達としては好きだけど~……僕、恋愛対象は女の子だから」
そう聞いてもイマイチ納得出来ないが、本人が言うのならそうなんだろう。
「あっ、そうそう! 蓮を元に戻す方法なんだけどね」
「あっ、あるんですか!? 犬神先輩を元に戻す方法が!!」
「もっちろ~ん、じゃなきゃ僕だってこんな事しないよ~」
「教えて下さい! 元に戻す方法を」
「イイよ~、元に戻す方法はね~……」
私は、沢渡さんからそれを聞いた瞬間──
頭の中が真っ白になった。