「幼なじみの僕が言うのもなんだけど、蓮はホントに良い奴でね……でも、まあご覧の通りあんなだから友達も少ないし、まして高校生になっても彼女もいない、でさ、悩んでいた僕の前にキミが現れたんだよね~」
「わ、私……ですか!?」
「アイツは鈍感だから全く気づいて無いけどね、キミが蓮の事を頻繁に尾行したり調べ回ってるの、たまたま見かけてね……」
や、ヤバい……。
私もしかして、沢渡さんに犬神先輩のストーカーとして警察に突き出されたりする?
「で、僕の方でもキミの事を調べさせてもらったよ」
私は思った。
沢渡さんが、私に微笑んでいる。
完璧な美形の微笑みほど、世の中に怖いモノはない。
ココは誠心誠意、ともかく謝ろう!
「えっと……アノ、す、すみませんでした! 後生ですからアノこの件はどうかっ……警察に突き出すのだけは……」
「けーさつ? 何が?」
しかし私の全身全霊の謝罪への反応は、思っていたのとは全く違った。
「それよりさ、月見里さんがどんな人かは何となく調べてわかったけど、僕には一つどうしてもわからない事があったんだよね~」
「わ、わからない??」
「月見里さんが、蓮のどこを好きになったのか……」
「えっ……?」
急に、それまでにこやかだった沢渡さんの表情がなんだか冷たくなった気がした。
「だって、クラスどころか学年も違う、何の接点も無い。恐らく……蓮の見た目だけとかじゃない? キミが好きなのって……」
見た目だけ……。
確かに、私は犬神先輩の事をちゃんと知らなかったけど……。
ぬいぐるみになって初めて中身を知って、どうしてこんな人好きになったんだろうとか思ったけど……、でも──
「それでね、どうしてもキミの本音が知りたくて裏ワザ使ったんだよね」
「裏ワザ?」
「予言の書はニセモノだけど、僕の家は魔女の家系なんだよ」
「はっ? 魔女?」
急に話が飛躍し過ぎて、私の頭は混乱した。
「家に伝わる本物の魔術の書に、禁断の秘術があってね……それが『魂の交換』」
「魂の交換?」
「そっ、誰かさんと誰かさんの魂を交換するってヤツ……キミがやったおまじない! でっ、今回はぬいぐるみと交換してもらったの」
「やっぱり! あのサイトを作ったのって、沢渡さんだったんですね!?」
「そう、あのサイトを作って、キミが見るように仕向けたのは僕だよ、昔からハッキングが趣味だったんだけど、キミのスマホにサイトへ誘導する広告を仕込んだんだ」
情報量が多すぎる。