私は魔女と同じクラスになった。

 私はもちろん魔女は気になった。でも、一緒にご飯を食べることはないだろうなと思っていた。あるのかないのか分からないものより、これからの高校生活を楽しめるようになるためのことをやりたかった。

魔女という肩書は伊達ではなかった。クラスの女子のほとんどがお昼の時になると魔女の周りに集まってきて、みんなでお弁当を食べた。そこに入ればいろんな人と仲良くご飯を食べることができたから、私も毎日そこに混ざった。

「佐倉さん、魔法使いってどんなことしているの?大きな鍋で何か作ったり?」

「箒で空飛べるってホントなの?」

「占いやってみてよ、大きな推奨とか使ってさ」

最初の家はみんな魔女に興味を持っていた。だから、自分思っている魔女のイメージで佐倉さんを当てはめていた。物語と同じなんだと。数々投げられる質問に彼女が返す解答は全て同じだった。

「ごめんね、私そうゆうのはできなんだ」

彼女はみんなが思っているよりも、もっと人間で私たちと同じ人だった。それでも、明るい性格だったので、すぐにみんなから突き放されるってことはなく。それからも、お昼を大勢で食べるのは変わらなかった。

4月も終わりに差し掛かって、クラスの顔も大体覚えてきたころ、ホームルームの時間を使って席替えが行われた。私はそこそこ運のいい方だと思っていたけれど、今回は見放されようで、クラスの中でもよく話す人たちとは私一人遠く離れてしまった。

私の引いた席は一番窓よりの席だった。クラスが様々な感情に包まれている中、私は一人窓の外を眺めていた。

また、お昼になったら佐倉さんのところに集まるだろうし、それまでの辛抱だ。と、思っていたところに隣の席に人が来た。せめて隣は女子がいいなと思いつつ向くと、隣の席だったのは男子だった。

「えーっと、木村さん?隣の席になったからよろしく」

私と目があってしまったせいか、あっちがあいさつをしてきた。確か、名前は清水健人と言ったはずだ。見た目はほんとに普通と言った感じだ。ある程度友達もいるし、体育の時にふざけすぎて先生に怒られていた記憶がある。むしろそれ以外は出てこなかった。同じクラスと言ってもほぼ接点はなかった。

「よろしくねー、木村さんなんて、明日香でいいよ。」

こちらも、あいさつをされたからには返しておいた。

ホームルームが終わると少し早めにお昼が始まった。私はいつものようにあの集まりの中に入った。隣の男子もすぐに自分のグループに混ざっていった。

それからは、あいさつをたまにする程度だった。授業と授業の合間は二人とも仲のいい人たちのところに移動した。

ある日の事、私の隣の席に大量のお菓子が積まれていた。何事かと思ったが、話を聞けそうな人たちはまだ登校していなかったので、少し遠回りをして自分の席に向かった。

自分の席にたどり着いた時、「おめでとー!」と教室の入り口で男子たちの声が上がった。今教室に入ってきたのはまさに隣の席の男子だった。どうやら、今日は彼の誕生日らしい。誕生日だからここまでお菓子を積んであったのか。こんなことをしているのを見ると久しぶりに高校生になったと実感した。

主役はみんなにお礼を言いながら自分の席に向かった。そこで、大きな歓声を上げた。男子でもここまでのお菓子を見るとテンション上がるんだな、と思った。それから、みんなで写真を撮り、お菓子を片付け始めた。買ってきた時のビニール袋をちゃんと取っておいてくれたらしい。

「ごめんね、うるさくしちゃって」

「いや気にしなくていいよ」

お菓子でぱんぱんになった袋を机の横に引っ掛け、開いた机の上にバックをようやく置けたところで、隣の席に座っていた私に謝罪を入れてきた。

私は、祝われている人見て妬ましく思うほど、根は腐っていない。

「そうだ、このお菓子食べれる?」

「え、食べれるよ。むしろ好き」

「じゃあ、1つもらってよ。こんなにあっても俺食べきれないし」

そういうと、横の袋からお菓子を一つ取り出すと私に渡した。

「ありがと。あと、誕生日おめでとう」

「おう、ありがとうな」

この人こんな顔ができたんだ。

それから、続々と登校してくる人たちに彼はお菓子のことでいじられていた。それを彼は楽しそうに受け答えしていた。私もそのあとに仲のいい子がこちらに来たので、そのこと別の子のところに行って、他愛もない談笑を始めた。

お菓子をもらったことがきっかけだったのか分からないが、そのこと話すようになった。最初は授業中に分からないところを聞かれたのを教える程度だった。そのうちに、授業とも関係ない話もするようになった。びっくりするほど、共通の話題がなかったが、話しているときはそれなりに楽しかった。

それからすぐに、私たちに週番が回ってきた。