先輩に昨日メールを送った。
先輩からの返信は『はい』ただそれだけだった。あの優しい、先輩からの返信が一言だったことがとても心につかえっている。どんな返信が来るかなんて、打ち込んでいるときも、送った後も、返信が来るまでずっと考えていた。でも、返信は私が思っていたどれとも、それは違った。
今日一日、授業の内容なんて頭に入ってこなかった。もちろん、これから私がしようとしていることで頭がいっぱいで、そんな間にも刻々と放課後が近づいてくる。早く授業が終わってほしいは思ったことはあるが、授業がもっと延びないかと思う日が来るとは思わなかった。早く伝えたいのに、先輩と話せるのも最後になるのかもと考えると、心が締め付けられた。
「ひまり、ご飯食べよ」
「ごめん、ちょっと用事が」
いつの間にか、午前中の授業が終わりお昼休みが始まっていた。いつものように木村さんがご飯を誘って来てくれたが、慌てて教室から出てきてしまった。マオちゃんは理解してくれてるだろうけど、木村さんには悪いことをしてしまったかもしれない。
行くところもなくさまよっていた結果、校舎裏のベンチに来ていた。夏が迫ってきたこの暑い中、外でご飯を食べようって人は居なかった。近くに日陰を見付けてそこに移動する。一人になるとさらに頭がこんがらがってきた。告白でなんて言うかなんて今まで読んできた本の中にたくさん書いてあった。けれども、私の気持ちを表してくれる言葉なんてなかった。
「あれ、井上さん」
「先輩?」
誰もいない、ところになぜか告白しようとしていた本人が立っていた。
「ごめん、移動するね。また、放課後に」
「ま、待ってください」
私を見て、来た道を戻ろうとしていた先輩の手をつかんで引き留めた。
放課後にあって伝える予定だったが、先輩が行ってしまうと思ったら体が勝手に動いていた。今しかないと体が伝えているような気がした。
「え、井上さん?」
先輩がこっちに振り返ってくれる。でも恥ずかしすぎて、顔なんて上げれなかった。俯いたたままの私に先輩も口を閉じた。
静寂の時間が私をこれでもかと追い立ててくる。この場から逃げ出したい。この気持ちでいっぱいだった。先輩の手をつかんでいる私の手は絶対にゆるまなかった。
そうだ、このままグジグジしていてはいけないんだ。大丈夫、私には魔法がかかってるんだから。
あとは先輩に伝えるだけ。
「先輩、私、あなたのことが好きです!本が好きなところとか、優しいところとか、他にもたくさん!私はいけない子なんです、誰にでも優しい先輩を私だけのものにしたいと思っちゃった。みんなに優しい、それが好きなのに。」
どんどんと思っていることが口からあふれてくる。もう、ブレーキなんてない。
「先輩が委員長を引き継ぐと言ったときは、もう先輩の選んでくれた本を読むことができなくなっちゃうって思うと寂しかったです。つらかったです。」
思い出したかのように、ほほを涙が伝ってくる。
「もう、私は、先輩なしじゃいられないんです。休日にだって会いたい、また本屋に行きたい、ずっと先輩と一緒にいたい。だから」
私は最後の最後で先輩に顔を向けられた。最後の言葉はちゃんと顔見て言いたかった。
涙でボロボロだけど、最高の笑顔を作って。あなたに
「先輩、私と付き合ってください」
教室に戻るとマオちゃんと木村さんがいつものところで話していた。二人に顔を合わせるのが急に気恥ずかしくなった。でも、今の気持ちをすぐに共有したかった。
私に気付いた二人が手招きをする。マオちゃんも木村さんも二人ともワクワク、ニヤニヤした表情だ、きっとお昼休みに何があったか分かっているのだろう。二人の期待ができるような話ができるのだろうか。
「で、どうだったの?有栖川先輩と会ってきたんでしょ」
「私も、気になります」
午後の授業が迫ってきているので、なるべく急いでお弁当を食べる。まず、木村さんが口を開いた。隠していたわけではないが木村さんがなぜ知っていることが疑問だった。でも、そこら中にヒントがあったので木村さんなら簡単に気づくのだろう。
「えっとね、だめだった。今は付き合えないんだって」
「そうなんだ、どんまいだよ!次いこう!」
こういったことに木村さんは慣れいているのだろう。結果を聞くとすぐにフォローへ回った。だけど、私の話はまだ終わってない。
「落ち着いて、明日香ちゃん。ひまりちゃん、今はって?」
マオちゃんはちゃんと気づいたみたいだ。
私はにやりと笑う、今まで顔に表情を出すなって柄じゃないからと避けてきたが、今日はもう限界だった。あの時の記憶はまだ脳内でずっと回想されている。二人に、先輩の言葉をそのまま伝える。
『その気持ちはとてもうれしい。でも、今は付き合うことはできない、委員会の仕事とか大学受験とかあるから。それが、中途半端になるのは嫌なんだ。あと、初恋の人には自分から告白したい……、だから、ひまりさんもう少しだけ待っててくれませんか?』
「ということは?」
結果はちゃんと自分の口から、自分の言葉で二人に伝えた。
「やったよ!マオちゃん、木村さん!」
「やったね、おめでとう!」
二人とも自分の事のように喜んでくれた。今の自分もしっかり喜べているのだろうか。あの時と同じ笑顔で。
「あと、マオちゃんなんていつから呼ぶようになったの?私も明日香ちゃんって呼ばれたいなー」
「私が、呼んでもいいの?」
「もちろんだよ、だって友達でしょ」
「うん、明日香ちゃんありがとう。それに、マオちゃん本当にありがと」
まだまだ話したいことはたくさんあった、この二人と一緒にいたかった。でも、お昼は終わりの時間だった。
もし、私が二人を誘ったら、放課後一緒に帰ってくれるのかな、あとで頑張って誘ってみよう。今の私なら何でもできるような気がするから。
それからしばらくたって、三回目の先輩とのお出かけの帰り道。
私は大好きな人から告白された。
先輩からの返信は『はい』ただそれだけだった。あの優しい、先輩からの返信が一言だったことがとても心につかえっている。どんな返信が来るかなんて、打ち込んでいるときも、送った後も、返信が来るまでずっと考えていた。でも、返信は私が思っていたどれとも、それは違った。
今日一日、授業の内容なんて頭に入ってこなかった。もちろん、これから私がしようとしていることで頭がいっぱいで、そんな間にも刻々と放課後が近づいてくる。早く授業が終わってほしいは思ったことはあるが、授業がもっと延びないかと思う日が来るとは思わなかった。早く伝えたいのに、先輩と話せるのも最後になるのかもと考えると、心が締め付けられた。
「ひまり、ご飯食べよ」
「ごめん、ちょっと用事が」
いつの間にか、午前中の授業が終わりお昼休みが始まっていた。いつものように木村さんがご飯を誘って来てくれたが、慌てて教室から出てきてしまった。マオちゃんは理解してくれてるだろうけど、木村さんには悪いことをしてしまったかもしれない。
行くところもなくさまよっていた結果、校舎裏のベンチに来ていた。夏が迫ってきたこの暑い中、外でご飯を食べようって人は居なかった。近くに日陰を見付けてそこに移動する。一人になるとさらに頭がこんがらがってきた。告白でなんて言うかなんて今まで読んできた本の中にたくさん書いてあった。けれども、私の気持ちを表してくれる言葉なんてなかった。
「あれ、井上さん」
「先輩?」
誰もいない、ところになぜか告白しようとしていた本人が立っていた。
「ごめん、移動するね。また、放課後に」
「ま、待ってください」
私を見て、来た道を戻ろうとしていた先輩の手をつかんで引き留めた。
放課後にあって伝える予定だったが、先輩が行ってしまうと思ったら体が勝手に動いていた。今しかないと体が伝えているような気がした。
「え、井上さん?」
先輩がこっちに振り返ってくれる。でも恥ずかしすぎて、顔なんて上げれなかった。俯いたたままの私に先輩も口を閉じた。
静寂の時間が私をこれでもかと追い立ててくる。この場から逃げ出したい。この気持ちでいっぱいだった。先輩の手をつかんでいる私の手は絶対にゆるまなかった。
そうだ、このままグジグジしていてはいけないんだ。大丈夫、私には魔法がかかってるんだから。
あとは先輩に伝えるだけ。
「先輩、私、あなたのことが好きです!本が好きなところとか、優しいところとか、他にもたくさん!私はいけない子なんです、誰にでも優しい先輩を私だけのものにしたいと思っちゃった。みんなに優しい、それが好きなのに。」
どんどんと思っていることが口からあふれてくる。もう、ブレーキなんてない。
「先輩が委員長を引き継ぐと言ったときは、もう先輩の選んでくれた本を読むことができなくなっちゃうって思うと寂しかったです。つらかったです。」
思い出したかのように、ほほを涙が伝ってくる。
「もう、私は、先輩なしじゃいられないんです。休日にだって会いたい、また本屋に行きたい、ずっと先輩と一緒にいたい。だから」
私は最後の最後で先輩に顔を向けられた。最後の言葉はちゃんと顔見て言いたかった。
涙でボロボロだけど、最高の笑顔を作って。あなたに
「先輩、私と付き合ってください」
教室に戻るとマオちゃんと木村さんがいつものところで話していた。二人に顔を合わせるのが急に気恥ずかしくなった。でも、今の気持ちをすぐに共有したかった。
私に気付いた二人が手招きをする。マオちゃんも木村さんも二人ともワクワク、ニヤニヤした表情だ、きっとお昼休みに何があったか分かっているのだろう。二人の期待ができるような話ができるのだろうか。
「で、どうだったの?有栖川先輩と会ってきたんでしょ」
「私も、気になります」
午後の授業が迫ってきているので、なるべく急いでお弁当を食べる。まず、木村さんが口を開いた。隠していたわけではないが木村さんがなぜ知っていることが疑問だった。でも、そこら中にヒントがあったので木村さんなら簡単に気づくのだろう。
「えっとね、だめだった。今は付き合えないんだって」
「そうなんだ、どんまいだよ!次いこう!」
こういったことに木村さんは慣れいているのだろう。結果を聞くとすぐにフォローへ回った。だけど、私の話はまだ終わってない。
「落ち着いて、明日香ちゃん。ひまりちゃん、今はって?」
マオちゃんはちゃんと気づいたみたいだ。
私はにやりと笑う、今まで顔に表情を出すなって柄じゃないからと避けてきたが、今日はもう限界だった。あの時の記憶はまだ脳内でずっと回想されている。二人に、先輩の言葉をそのまま伝える。
『その気持ちはとてもうれしい。でも、今は付き合うことはできない、委員会の仕事とか大学受験とかあるから。それが、中途半端になるのは嫌なんだ。あと、初恋の人には自分から告白したい……、だから、ひまりさんもう少しだけ待っててくれませんか?』
「ということは?」
結果はちゃんと自分の口から、自分の言葉で二人に伝えた。
「やったよ!マオちゃん、木村さん!」
「やったね、おめでとう!」
二人とも自分の事のように喜んでくれた。今の自分もしっかり喜べているのだろうか。あの時と同じ笑顔で。
「あと、マオちゃんなんていつから呼ぶようになったの?私も明日香ちゃんって呼ばれたいなー」
「私が、呼んでもいいの?」
「もちろんだよ、だって友達でしょ」
「うん、明日香ちゃんありがとう。それに、マオちゃん本当にありがと」
まだまだ話したいことはたくさんあった、この二人と一緒にいたかった。でも、お昼は終わりの時間だった。
もし、私が二人を誘ったら、放課後一緒に帰ってくれるのかな、あとで頑張って誘ってみよう。今の私なら何でもできるような気がするから。
それからしばらくたって、三回目の先輩とのお出かけの帰り道。
私は大好きな人から告白された。