昼休み、二人に文化祭は彼氏とまわるのか聞いてみた。
「多分まわると思います」
「もちろん、回るよー」
「だよね」
やはり相手のいる人たちは彼氏と一緒に回るらしい。二人とも彼氏と仲良くしているのは嬉しいし、私が役に立ったと達成感が湧く。
「でも」
「でも?」
「もちろん、マオとも回るよ!」
「そうです一緒に回りますよ!」
「二人とも~」
やっぱり持つべきは友達だ。きっと、文化祭は私一人でまわることになるんだとか考える前で良かった。もし考え始めていたのなら、文化祭を休みかねなかった。
「それで、マオには一緒に回ろうとか思う人いないの?男子で」
明日香ちゃんからの質問に、隣にいたひまりちゃんも気になっていたのか頷いた。
「私は……いないかな?最近戻ってきたばかりだから、さ!」
ここで正直な気持ちを言えばよかったのだろうに、ここでも私は逃げてしまう。顔は何とか笑顔をつくれてはいるが、気持ちはへとへとだった。
そんな私を救ってか、話の話題は文化祭も彼氏も関係ないものに移っていった。
文化祭が始まる前に一度だけ、朝家の前で彼と会った。たまたま、お互いの家を出た時刻が重なったのだ。私も家の前を歩く彼に気が付いたし、彼も家から出てくる私に気付いた。
絶好のチャンスはまさにこのことだろう、彼も足を止めてくれて私の行動を待った。きっと、彼も言葉を探していたのだと思う、お互いなかなか言葉が見つからず静寂の時間が続く。
それでも彼は言葉を必死に探し出し、見つけ出したのを声にした。そんな彼の頑張りは、焦った挙句忘れ物をしたふりをして家に飛び込んだ、私には届かなかった。
私が家に入ってしまうと彼は先に学校の方へ歩き出していった。
彼が行ったことを確認して、私は家を出る。登校中にただ挨拶をするだけでよかったのかと、さっきの解答は見つかった。それすらも彼の前ではできなくなってしまう。
結局、彼と話せないまま、文化祭の前日になってしまった。
文化祭前は誰もが忙しく動いていた。もちろん私も例外ではなく、せっせと手を動かす。前日は準備の時間に充てられて、午前中から準備に取り掛かっているわけだが、想像以上に進みが悪かった。午前中までは余裕を感じていたが、お昼を過ぎるとそんなこと言っていられない状況だということを全員が理解した。
「マオそっち終わりそう?」
「明日香ちゃん、あとちょっとかな」
「じゃあ、早く終わらせちゃお。筆もう一本ある?」
「はい」
私が一人で作業しているところに明日香ちゃんが合流した。明日香ちゃんがやっていたところはもう終わっているらしく、明日香ちゃんと一緒にやっていた他の人達もそれぞれにまだ終わっていない人のところに手伝いに行っている。
「ねえ、まお?」
話始めた明日香ちゃんの手は止まってない。私も手を止めずに言葉を返す。
「なに?明日香ちゃん」
「幼馴染っていう人と何かあった?」
「え、な、なんで?」
私はおどろいた拍子に手を止めてしまう。それでも、明日香ちゃんがこちらを見ていないことを信じて、作業を再開する。明日香ちゃんの目は作業中のところから動いていなかった。
「違うの?」
「うん、ちがう……よ?」
「そう」
それからはお互いに作業に集中した。一回、明日香ちゃんが立ち上がってひまりちゃんの所に行ったくらいだった。なので、私の分担は下校時間前には終わらせることができた。自分の分が終わったからと言っても、まだ終わってないところの手伝いに行ったため下校時間からずいぶんと時間は過ぎていった。
それでも、部活をやっている人からしたら、いつもより早い時間に解散になった。
私もみんなと掃除をした後に家に帰ることになった。掃除しているとき、スマホにメッセージが届いていた。彩香ちゃんからだ。
——掃除終わっても、帰らずにちょっと教室で待って!
今日はこの後に用事もなかったので、「了解」と送り返しといた。
「多分まわると思います」
「もちろん、回るよー」
「だよね」
やはり相手のいる人たちは彼氏と一緒に回るらしい。二人とも彼氏と仲良くしているのは嬉しいし、私が役に立ったと達成感が湧く。
「でも」
「でも?」
「もちろん、マオとも回るよ!」
「そうです一緒に回りますよ!」
「二人とも~」
やっぱり持つべきは友達だ。きっと、文化祭は私一人でまわることになるんだとか考える前で良かった。もし考え始めていたのなら、文化祭を休みかねなかった。
「それで、マオには一緒に回ろうとか思う人いないの?男子で」
明日香ちゃんからの質問に、隣にいたひまりちゃんも気になっていたのか頷いた。
「私は……いないかな?最近戻ってきたばかりだから、さ!」
ここで正直な気持ちを言えばよかったのだろうに、ここでも私は逃げてしまう。顔は何とか笑顔をつくれてはいるが、気持ちはへとへとだった。
そんな私を救ってか、話の話題は文化祭も彼氏も関係ないものに移っていった。
文化祭が始まる前に一度だけ、朝家の前で彼と会った。たまたま、お互いの家を出た時刻が重なったのだ。私も家の前を歩く彼に気が付いたし、彼も家から出てくる私に気付いた。
絶好のチャンスはまさにこのことだろう、彼も足を止めてくれて私の行動を待った。きっと、彼も言葉を探していたのだと思う、お互いなかなか言葉が見つからず静寂の時間が続く。
それでも彼は言葉を必死に探し出し、見つけ出したのを声にした。そんな彼の頑張りは、焦った挙句忘れ物をしたふりをして家に飛び込んだ、私には届かなかった。
私が家に入ってしまうと彼は先に学校の方へ歩き出していった。
彼が行ったことを確認して、私は家を出る。登校中にただ挨拶をするだけでよかったのかと、さっきの解答は見つかった。それすらも彼の前ではできなくなってしまう。
結局、彼と話せないまま、文化祭の前日になってしまった。
文化祭前は誰もが忙しく動いていた。もちろん私も例外ではなく、せっせと手を動かす。前日は準備の時間に充てられて、午前中から準備に取り掛かっているわけだが、想像以上に進みが悪かった。午前中までは余裕を感じていたが、お昼を過ぎるとそんなこと言っていられない状況だということを全員が理解した。
「マオそっち終わりそう?」
「明日香ちゃん、あとちょっとかな」
「じゃあ、早く終わらせちゃお。筆もう一本ある?」
「はい」
私が一人で作業しているところに明日香ちゃんが合流した。明日香ちゃんがやっていたところはもう終わっているらしく、明日香ちゃんと一緒にやっていた他の人達もそれぞれにまだ終わっていない人のところに手伝いに行っている。
「ねえ、まお?」
話始めた明日香ちゃんの手は止まってない。私も手を止めずに言葉を返す。
「なに?明日香ちゃん」
「幼馴染っていう人と何かあった?」
「え、な、なんで?」
私はおどろいた拍子に手を止めてしまう。それでも、明日香ちゃんがこちらを見ていないことを信じて、作業を再開する。明日香ちゃんの目は作業中のところから動いていなかった。
「違うの?」
「うん、ちがう……よ?」
「そう」
それからはお互いに作業に集中した。一回、明日香ちゃんが立ち上がってひまりちゃんの所に行ったくらいだった。なので、私の分担は下校時間前には終わらせることができた。自分の分が終わったからと言っても、まだ終わってないところの手伝いに行ったため下校時間からずいぶんと時間は過ぎていった。
それでも、部活をやっている人からしたら、いつもより早い時間に解散になった。
私もみんなと掃除をした後に家に帰ることになった。掃除しているとき、スマホにメッセージが届いていた。彩香ちゃんからだ。
——掃除終わっても、帰らずにちょっと教室で待って!
今日はこの後に用事もなかったので、「了解」と送り返しといた。