「えっと、夏未先輩さっきの言葉は、その、比喩って言いうか、なんというか」
「もう、バカ」
顔を下から先輩の方に向けると、そこには涙をためた先輩がいた。
「え、泣くほど嫌でした?」
そんなに先輩に嫌われてしまったのかと僕は深く後悔した。また視線が下に落ちていく。
「だからなんで伝わらないの!?」
声を上げたのは先輩だった。先輩は箸も茶碗も机の上において、両手は足の上だった。先輩は顔を上げてないので、今どんな表情をしているかは分からなかった。
「普通、女の子が簡単に一人暮らしの男の人の部屋に入るわけないでしょ?」
「そうなんですか?」
「普通そうなの!」
今まで同じ年の異性との付き合いがほとんどなかったせいで、先輩との距離感が僕は普通だと思っていた。
「え、じゃあなんで、夏未先輩は僕の部屋に?」
「そんなこと自分で考えて!」
また僕の発言は間違っていたらしい、先輩はさらに顔を真っ赤にする。ぷりぷりと怒っているようだけども、僕には先輩の求めている答えが全く分からない。
一向に気付いてくれない僕に対し、堪え切れなくなった先輩は膝の上にあった手を机の上の乗せて、机越しに顔を近づけてきた。驚いた僕は体を少し引いてしまった。引いた分だけ先輩が近づく。
「だからさ、もう気づいてよ!」
「えっと、もしかして、僕の事好いていらっしゃる、とか?」
「そうだよ、好いてるよ!大がつくくらいに!」
先輩が僕にそんな感情を抱いてたとは全く気付かなかった。今、それを確認してしまったせいで、先輩の顔を見るのが照れてしまう。そりゃあ、好まれるのは嬉しくない男子なんていないと思うが、経験が少なすぎてここから、どうしたらいいのかが分からない。
その状態のまま時間だけが、進んでいく。
「夏未先輩、僕その手の経験がないので全然イメージが浮かばないのですが、先輩が教えてくれますか、?」
「も、もちろんだよ!」
こうして、僕たちは恋人と呼ばれる関係になったわけだが、いざ改めて今の二人の体勢を考えてみると男女が逆転したようだった。先輩も同じことを思ったようで「できれば、逆だと嬉しかったんだけどな」と言っていた。それから残っていたご飯を食べてた。次はちゃんと会話があった。
「先輩が今日、がっちりメイクしているって、もしかしてこうなることを分かってたんですか?」
「あー、うん、今日が頑張るタイミングだと考えた。予定だともっとスマートに行く予定だったんだけどね。それにおまじないもかけてもらったしね」
「おまじない?」
「うん、茶道部の後輩に相談したら、魔法使いの子を紹介してくれてね」
「魔法使いって、佐倉さん?」
「知ってるの?」
「もちろん、同じクラスですから」
先輩から意外な人が出てきた。確かに、入学して近くの自己紹介で魔法使いって言ってたけど、おまじないって何か呪文を唱えたりとかするのかな?僕の彼女に対するイメージだと似合わなそうだけど。
「おまじないってどんな感じだったんですか?」
「なんかね、すごかった」
「感想はそれだけですか?」
「えっと、きれいだったから見とれてたら一瞬で終わっちゃった。でも、何か唱えるたびに周りがキラキラしてた。ごめん、説明が下手で」
「いえ、よくわかりました」
魔法使いという職業が認められているが、生粋の科学を信じる僕にとってはまだ信じがたいものがあった。でも、先輩の表情を見れば本当にあるのか、ないのかは明白だった。
「食べ終わったことだし、食器洗っちゃおうか」
「それぐらいは、僕にやらせてください。大丈夫です、皿洗いくらいは僕にだってできます」
「前のことを思うと、疑っちゃうけど。まあ、一緒にやろうよ」
「はい」
二人で使った食器をシンクの中に入れていく。
「ほんとに食器洗えるんだ」
実際の僕が食器を洗えることを見せると、先輩もようやく分かってくれたらしい。先輩は僕が洗った食器の水気を付近で拭いている。
「ああ、やっぱり、佐藤くんからされたかったな」
「まだそれを言います?」
「だって仕方ないじゃん、本音だもん」
さっきから、先輩はことあるごとに僕からの言葉が聞きたかったと喚いている。
「分かりました、夏未先輩。そこの壁の知覚に立ってください」
「わ、分かった」
先輩はいったん作業中だったものを置き壁による。僕も濡れた手をタオルで拭いてから、先輩に近づく。
「夏未先輩、行きますよ」
お互いいざってなると心臓が高鳴った。僕の鼓動はバクバク言ったままだ、でもなるべく先輩に気付かれないように平然を装う。先輩のすぐ前まで来たところで立ち止まる。何年か前に見た画像を思い出しながらなるべくスマートに、先輩の顔の横に手を伸ばし、後ろの壁に置く。
「夏未先輩、これでいいですか?」
先輩はぶんぶんと横に首を振る。僕にしたら、とても背伸びした行動をとったと思う。でもこれだけじゃあ先輩は満足しなかったらしい。
「好きってほしい」
先輩は恥ずかしそうに僕との目線を外しながら言った。こんな、しおらしい先輩を見たことはなく、とても可愛かった。それに、彼女からのおねだりには答えてあげるのが彼氏の役目だろう。
「先輩、好きです」
「私も大好き」
僕からの言葉を着た後、先輩は返しの言葉と共に、僕の首の後ろに両手を回し、抱き着いてきた。先輩が抱き着いてきたせいで、壁についている右手はつらいことになっているが。幸福感にあふれていた。
「佐藤くん、まだ緊張してるね」
「夏未先輩こそ、鼓動すごいですよ」
お互いが隠していた物なんてこの体勢になってしまえば、包み隠すことなんてできなかった。
「先輩、本当に僕でいいんですか?」
「私の感情を間違いとでもいうの?まあ、間違ってても変えないけどね」
僕も今日、様々な姿の先輩を見ることができた、それでも一番はこのお姉さん質の優しい性格が好だと思った。
「夏未先輩」
「佐藤くんなに?」
「そろそろ離してもらっていいですか?もう、腕が限界で」
先輩はぴくぴくしている右手をみて、すぐに開放してくれた。右手を壁から離して軽くさする。こんなことになるんだったら筋トレしとけばよかった。
「ごめんね、大丈夫?」
「いや僕こそ、ふがいなくて」
それから残っていた洗い物を終わらせて、先輩といちゃついた。イマイチ、友達と変わったことが分からなかったけど、すごく先輩は楽しそうだった。そのうち、僕にも違いがわかる日が来るだろう、先輩が教えてくれると言ってくれたんだから。
「もう、バカ」
顔を下から先輩の方に向けると、そこには涙をためた先輩がいた。
「え、泣くほど嫌でした?」
そんなに先輩に嫌われてしまったのかと僕は深く後悔した。また視線が下に落ちていく。
「だからなんで伝わらないの!?」
声を上げたのは先輩だった。先輩は箸も茶碗も机の上において、両手は足の上だった。先輩は顔を上げてないので、今どんな表情をしているかは分からなかった。
「普通、女の子が簡単に一人暮らしの男の人の部屋に入るわけないでしょ?」
「そうなんですか?」
「普通そうなの!」
今まで同じ年の異性との付き合いがほとんどなかったせいで、先輩との距離感が僕は普通だと思っていた。
「え、じゃあなんで、夏未先輩は僕の部屋に?」
「そんなこと自分で考えて!」
また僕の発言は間違っていたらしい、先輩はさらに顔を真っ赤にする。ぷりぷりと怒っているようだけども、僕には先輩の求めている答えが全く分からない。
一向に気付いてくれない僕に対し、堪え切れなくなった先輩は膝の上にあった手を机の上の乗せて、机越しに顔を近づけてきた。驚いた僕は体を少し引いてしまった。引いた分だけ先輩が近づく。
「だからさ、もう気づいてよ!」
「えっと、もしかして、僕の事好いていらっしゃる、とか?」
「そうだよ、好いてるよ!大がつくくらいに!」
先輩が僕にそんな感情を抱いてたとは全く気付かなかった。今、それを確認してしまったせいで、先輩の顔を見るのが照れてしまう。そりゃあ、好まれるのは嬉しくない男子なんていないと思うが、経験が少なすぎてここから、どうしたらいいのかが分からない。
その状態のまま時間だけが、進んでいく。
「夏未先輩、僕その手の経験がないので全然イメージが浮かばないのですが、先輩が教えてくれますか、?」
「も、もちろんだよ!」
こうして、僕たちは恋人と呼ばれる関係になったわけだが、いざ改めて今の二人の体勢を考えてみると男女が逆転したようだった。先輩も同じことを思ったようで「できれば、逆だと嬉しかったんだけどな」と言っていた。それから残っていたご飯を食べてた。次はちゃんと会話があった。
「先輩が今日、がっちりメイクしているって、もしかしてこうなることを分かってたんですか?」
「あー、うん、今日が頑張るタイミングだと考えた。予定だともっとスマートに行く予定だったんだけどね。それにおまじないもかけてもらったしね」
「おまじない?」
「うん、茶道部の後輩に相談したら、魔法使いの子を紹介してくれてね」
「魔法使いって、佐倉さん?」
「知ってるの?」
「もちろん、同じクラスですから」
先輩から意外な人が出てきた。確かに、入学して近くの自己紹介で魔法使いって言ってたけど、おまじないって何か呪文を唱えたりとかするのかな?僕の彼女に対するイメージだと似合わなそうだけど。
「おまじないってどんな感じだったんですか?」
「なんかね、すごかった」
「感想はそれだけですか?」
「えっと、きれいだったから見とれてたら一瞬で終わっちゃった。でも、何か唱えるたびに周りがキラキラしてた。ごめん、説明が下手で」
「いえ、よくわかりました」
魔法使いという職業が認められているが、生粋の科学を信じる僕にとってはまだ信じがたいものがあった。でも、先輩の表情を見れば本当にあるのか、ないのかは明白だった。
「食べ終わったことだし、食器洗っちゃおうか」
「それぐらいは、僕にやらせてください。大丈夫です、皿洗いくらいは僕にだってできます」
「前のことを思うと、疑っちゃうけど。まあ、一緒にやろうよ」
「はい」
二人で使った食器をシンクの中に入れていく。
「ほんとに食器洗えるんだ」
実際の僕が食器を洗えることを見せると、先輩もようやく分かってくれたらしい。先輩は僕が洗った食器の水気を付近で拭いている。
「ああ、やっぱり、佐藤くんからされたかったな」
「まだそれを言います?」
「だって仕方ないじゃん、本音だもん」
さっきから、先輩はことあるごとに僕からの言葉が聞きたかったと喚いている。
「分かりました、夏未先輩。そこの壁の知覚に立ってください」
「わ、分かった」
先輩はいったん作業中だったものを置き壁による。僕も濡れた手をタオルで拭いてから、先輩に近づく。
「夏未先輩、行きますよ」
お互いいざってなると心臓が高鳴った。僕の鼓動はバクバク言ったままだ、でもなるべく先輩に気付かれないように平然を装う。先輩のすぐ前まで来たところで立ち止まる。何年か前に見た画像を思い出しながらなるべくスマートに、先輩の顔の横に手を伸ばし、後ろの壁に置く。
「夏未先輩、これでいいですか?」
先輩はぶんぶんと横に首を振る。僕にしたら、とても背伸びした行動をとったと思う。でもこれだけじゃあ先輩は満足しなかったらしい。
「好きってほしい」
先輩は恥ずかしそうに僕との目線を外しながら言った。こんな、しおらしい先輩を見たことはなく、とても可愛かった。それに、彼女からのおねだりには答えてあげるのが彼氏の役目だろう。
「先輩、好きです」
「私も大好き」
僕からの言葉を着た後、先輩は返しの言葉と共に、僕の首の後ろに両手を回し、抱き着いてきた。先輩が抱き着いてきたせいで、壁についている右手はつらいことになっているが。幸福感にあふれていた。
「佐藤くん、まだ緊張してるね」
「夏未先輩こそ、鼓動すごいですよ」
お互いが隠していた物なんてこの体勢になってしまえば、包み隠すことなんてできなかった。
「先輩、本当に僕でいいんですか?」
「私の感情を間違いとでもいうの?まあ、間違ってても変えないけどね」
僕も今日、様々な姿の先輩を見ることができた、それでも一番はこのお姉さん質の優しい性格が好だと思った。
「夏未先輩」
「佐藤くんなに?」
「そろそろ離してもらっていいですか?もう、腕が限界で」
先輩はぴくぴくしている右手をみて、すぐに開放してくれた。右手を壁から離して軽くさする。こんなことになるんだったら筋トレしとけばよかった。
「ごめんね、大丈夫?」
「いや僕こそ、ふがいなくて」
それから残っていた洗い物を終わらせて、先輩といちゃついた。イマイチ、友達と変わったことが分からなかったけど、すごく先輩は楽しそうだった。そのうち、僕にも違いがわかる日が来るだろう、先輩が教えてくれると言ってくれたんだから。