「…僕が店をやるよ」

「…お前は学校もあるし、酒場は深夜まで開かなきゃだめなんだ。いいから、おじいちゃんと暮らせ」

「…やだよ!」

いつまでも、ジャンと暮らしていたいのだろう、リアンは叫んだ。

「…今の俺じゃお前を養えないんだ…それに店を閉めて旅に出ようと思ってたんだ」

 ジャンはリアンの為を思い、嘘を吐いた。

「…僕も付いて行くよ」

「…お前は邪魔なんだ…お前が居ると、いつまでも、俺は結婚もできやしない」

「………」

 返す言葉を無くしたリアンは、泣きながら病室を飛び出して行った。
 その後ろ姿を悲しい目で見送ったジャンは、マドルスに頭を下げた。

「…リアンを頼みましたよ」

 マドルスは頷き、リアンを追い掛ける為に、病室から出て行った。そして病室に一人きりになったジャンは、ようやくおもいっきり泣けたのだ。
 リアンは病院を出て、直ぐの所でうずくまり泣いていた。
 そんなリアンの肩に、マドルスは優しく手を載せる。

「…じいちゃんと、一緒に暮らそうな」

 マドルスは跪き、目線をうずくまるリアンに合わせた。

「…うん」