私が見える。あ、これ夢って分かる夢だ。
あれから、どうなったんだっけ。瑠璃が私に杭を刺して、それで......
瑠璃の部屋には、なぜかママもいた。それから瑠璃のパパと、私の右手を祈るように握る瑠璃。
その表情は暗く、じっと一点を見つめていた。そんな顔をしないで。私はここにいるから。
彼に触れられないのが歯痒い。
辺りは寝静まっていて、太陽も顔を出していない。夜明け前の、青い時間。空気が澄んでいる。
太陽の上端が、微かに顔を出した、その時。私の意識は横たわる体に引き戻されーー
閉じた瞼越しに、光が見えた。多分、朝日だ。
右手に瑠璃の温もりを感じる。目を開いて、彼を見た。
「緋色、緋色。生きてるのか?生きてるんだよな?」今まで見たことのない顔だった。必死で何かに縋るような、祈りを捧げるような。
「生きてるよ、瑠璃」
その瞬間、彼は私を抱き寄せた。彼の方から抱擁するのは、これが初めてかもしれない。
「良かった......本当に良かった」声が震えている。その涙が、私の肩を濡らした。
「どうしたの。なんかあった?」
「覚えてないのか?『愛の杭』って」
「そうだった。つまり、成功したってこと?」
「そういうこと。緋色は、人間になったんだ」
ママは涙ぐんでいる。「私、人間の料理は食べられないから、美味しくないかもしれないけど、それでもいい?」
瑠璃のパパが大胆な提案をした。「もう、同じ家に住んじゃえばいいのでは。料理は私が担当します。それ以外の家事は天鬼さんにお願いして」
「ルームシェアってことですか?」
「もう、家族みたいなものですから」
瑠璃と同じ家に住むなんて、考えたことも無かった。でもそんな生活も、悪くない。
人間になって初めて見た朝日は、どこまでも明るく輝いていた。
あれから、どうなったんだっけ。瑠璃が私に杭を刺して、それで......
瑠璃の部屋には、なぜかママもいた。それから瑠璃のパパと、私の右手を祈るように握る瑠璃。
その表情は暗く、じっと一点を見つめていた。そんな顔をしないで。私はここにいるから。
彼に触れられないのが歯痒い。
辺りは寝静まっていて、太陽も顔を出していない。夜明け前の、青い時間。空気が澄んでいる。
太陽の上端が、微かに顔を出した、その時。私の意識は横たわる体に引き戻されーー
閉じた瞼越しに、光が見えた。多分、朝日だ。
右手に瑠璃の温もりを感じる。目を開いて、彼を見た。
「緋色、緋色。生きてるのか?生きてるんだよな?」今まで見たことのない顔だった。必死で何かに縋るような、祈りを捧げるような。
「生きてるよ、瑠璃」
その瞬間、彼は私を抱き寄せた。彼の方から抱擁するのは、これが初めてかもしれない。
「良かった......本当に良かった」声が震えている。その涙が、私の肩を濡らした。
「どうしたの。なんかあった?」
「覚えてないのか?『愛の杭』って」
「そうだった。つまり、成功したってこと?」
「そういうこと。緋色は、人間になったんだ」
ママは涙ぐんでいる。「私、人間の料理は食べられないから、美味しくないかもしれないけど、それでもいい?」
瑠璃のパパが大胆な提案をした。「もう、同じ家に住んじゃえばいいのでは。料理は私が担当します。それ以外の家事は天鬼さんにお願いして」
「ルームシェアってことですか?」
「もう、家族みたいなものですから」
瑠璃と同じ家に住むなんて、考えたことも無かった。でもそんな生活も、悪くない。
人間になって初めて見た朝日は、どこまでも明るく輝いていた。