夜十一時の夜空は、霜が降りて来そうな寒さだ。今日は大晦日。
瑠璃と一緒に神社に来ている。年越しと初詣を、共に過ごすために。
「おしるこ」瑠璃が自動販売機で買って来たものだ。
「ありがとう」と言って受け取る。汁粉の缶はまだ暖かい。
私たちの番が来た。賽銭を投げ、鈴を鳴らす。
「どうやるんだっけ」やり方を忘れてしまった。
「二回礼をして、二回拍手して、願い事して一礼」
瑠璃はすごい。事前に調べてあったのだろうか。「ありがとう」
礼、拍手。鬼にならず、瑠璃と一緒に過ごせますように。礼。
参拝を終え、境内を出た。いつの間にか年を越していたらしい。
「瑠璃は何をお願いしたの?」
彼にしては珍しく、恥ずかしげに頭を掻いた。「緋色が人になれますようにって、お願いした」
瑠璃はいつも、自分のことが後回しだ。
「緋色は?」
「内緒」
「何で」
「恥ずかしいから」
三ヶ月前、恋愛とか興味ないと、涼しげに言っていたのを思い出す。これが恋愛感情かどうか分からないが、少なくとも友愛以上のものであることは、自覚していた。
帰りは、そのまま二人無言で歩いた。不思議と無言でも気まずくならなかったのは、それだけ互いを信頼しているからだろうか。そうだったらいいな。
正月の寒空の下、私たちの周りだけが暖かいような気がした。
瑠璃と一緒に神社に来ている。年越しと初詣を、共に過ごすために。
「おしるこ」瑠璃が自動販売機で買って来たものだ。
「ありがとう」と言って受け取る。汁粉の缶はまだ暖かい。
私たちの番が来た。賽銭を投げ、鈴を鳴らす。
「どうやるんだっけ」やり方を忘れてしまった。
「二回礼をして、二回拍手して、願い事して一礼」
瑠璃はすごい。事前に調べてあったのだろうか。「ありがとう」
礼、拍手。鬼にならず、瑠璃と一緒に過ごせますように。礼。
参拝を終え、境内を出た。いつの間にか年を越していたらしい。
「瑠璃は何をお願いしたの?」
彼にしては珍しく、恥ずかしげに頭を掻いた。「緋色が人になれますようにって、お願いした」
瑠璃はいつも、自分のことが後回しだ。
「緋色は?」
「内緒」
「何で」
「恥ずかしいから」
三ヶ月前、恋愛とか興味ないと、涼しげに言っていたのを思い出す。これが恋愛感情かどうか分からないが、少なくとも友愛以上のものであることは、自覚していた。
帰りは、そのまま二人無言で歩いた。不思議と無言でも気まずくならなかったのは、それだけ互いを信頼しているからだろうか。そうだったらいいな。
正月の寒空の下、私たちの周りだけが暖かいような気がした。