文化祭から一ヶ月が過ぎた。あれから、緋色と昼ご飯を食べることは無くなった。基本的に緋色から誘ってくれていたので、彼女からの干渉が途絶えれば無くなる、脆い関係だったのだ。避けられているのに誘うのも気が引けて、僕は動けなかった。
演劇部でも一切、口を聞かずに、淡々と練習をした。皮肉なことに、二人の関係が気まずい方が、それを誤魔化すために熱心に練習するのだ。
「卵焼きもーらいっ!」
「卵焼きは別に好きじゃないから、幸太郎にくれてやるよ」
八つ当たりだ。幸太郎にキツくしてみる。
「で、どうした。痴話喧嘩か?」
「理由は分からない」
幸太郎は長年の片思いを拗らせているだけあって、ちょっとやそっとの八つ当たりには動じない。
幸太郎の好意には、気付いている。それが友愛と別種のものだということにも。でも僕は気付かない振りをして、友達を演じる。そうやって寂しさを紛らわせて来た。
僕って、割とクズだな。とは思っても、これ以外の生き方を知らないのだから、しようがない。
「ダブルデートだ。演劇部の四人で」
「カップルがいないのに?」
「いいから黙って、付いて来い」
幸太郎は不器用だ。僕のことが好きな癖に、緋色と仲直りさせようとしている。
「報われないなぁ、幸太郎は」
演劇部でも一切、口を聞かずに、淡々と練習をした。皮肉なことに、二人の関係が気まずい方が、それを誤魔化すために熱心に練習するのだ。
「卵焼きもーらいっ!」
「卵焼きは別に好きじゃないから、幸太郎にくれてやるよ」
八つ当たりだ。幸太郎にキツくしてみる。
「で、どうした。痴話喧嘩か?」
「理由は分からない」
幸太郎は長年の片思いを拗らせているだけあって、ちょっとやそっとの八つ当たりには動じない。
幸太郎の好意には、気付いている。それが友愛と別種のものだということにも。でも僕は気付かない振りをして、友達を演じる。そうやって寂しさを紛らわせて来た。
僕って、割とクズだな。とは思っても、これ以外の生き方を知らないのだから、しようがない。
「ダブルデートだ。演劇部の四人で」
「カップルがいないのに?」
「いいから黙って、付いて来い」
幸太郎は不器用だ。僕のことが好きな癖に、緋色と仲直りさせようとしている。
「報われないなぁ、幸太郎は」