喫茶Hesperusには猫がいる

そして店員さんは、厨房の方に向かって行く。「じゃぁ水を半カップ足して…塩の分量が……」と独り言を唱えながら。



「お嬢ちゃん助かったわ、ありがとうな」
黒猫が私に向かって深くお辞儀。

「よう分かったなぁ、関西のおしるこのこと知ってたん?」

「えっと、向こうに知り合いが居て……ってすいません、これはどういう状況ですか?」

「いや、やから家内は白玉ぜんざい好きやったからリクエスト言われてぜんざい言うたら、何か知らんけど金時が出てきたっちゅうわけでなー」

「はぁ……?」

リクエスト?家内?
何の話なのかよくわからず、頭にははてなマークがこんがらがっている。


「お主は魂とか生まれ変わりとか、信じるタイプか?」

そう聞いてきたのは、あの白猫のマオンだ。


「信じるも何も…昔から何か変なものが見えてましたからねぇー」

そう言うと「話が早い」と。

「こいつが三十二年前に死んだじいさんだって言われたら信じるか?」

そう言って指したのは─あの黒猫だ。


「うーん、まぁ…信じる……かな?」

「そうだ俺は昭和六十三年の四月二十日に亡くなったんだ」

そうあまりにも堂々と黒猫は言い切った。